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DTPは印刷を変えた(4)−印刷100年の変革

●DTPの進展
既に1988年頃のDTPでも、優れたイメージ処理(図形・画像)機能をもつアプリケーションが多かった。特に写真画像(ハーフトーン)処理のソフトに優れたものが登場している。今では当り前の画像処理のデモが、展示会場の目の前で見せられた驚きは忘れられない。

当時はモノクロ画像処理であるが、アナログの写真製版でも高度な技術を要する、写真 原稿を修正するレタッチ機能は優れたものであった。当時のグラフィックソフトでポピュ ラーなものとしては、

1.Illustlator
2.Macpaint
3.Macwrite
4.Macdraw
などがあり、また画像処理ソフトとしては、

1.Spectrum
2.Interleaf
3.Image Studio
4.Digital Darkroom
などがすぐれたものである。主な編集機能としてはエアブラッシング、クリッピング、 ボカシ、階調変更、コピー、移動、合成などの機能を備えている。

●カラー化指向のDTP
ここまではホワイト&ブラック(モノクロ)の処理である。ハイエンドDTPの究極の目的はカラー指向であったが、1989年頃にカラープリンタが登場してからカラーDTPの実用化が進んだ。しかしカラーDTP化の実現には幾つかのアプローチがある。

1.普通紙出力(カラープリンタ)
2.カラー分版出力(イメージセッタ)
3.CEPSとの融合化
などである。

米国におけるDTPのカラー指向は、1989年に入り顕著になっている。フロントエンドおよびバックエンドともに、多くの開発メーカーが登場してきた。

特に従来のプリンタメーカーが、熱転写方式やインクジェット方式などのカラープリン タをデモしていた。なかでも目立っていたのがアドビ社とQMSの共同開発によるColor PostScript Printerの「Color Script 100」で、300dpiのサーマルプリンタである。PostScriptで記述された文字・カラー画像などのカラーイメージが出力できる。

その他にコダック社の「ColorEdge Electronic Printer」やTEKTRONIXの「4693D」などのカラープリンタが登場し、カラー化の幕開けとなった。市場では今後カラー需要が増大すると予想され、プレゼンテーション分野におけるデザイン、企画のツールとして「DTP=DeskTop Presentation」への発展方向を辿っていこうとしていた。

1980年代末のいろいろなレベルのDTPをグレードにより分類すると、
1.ローエンドDTP──高級ワープロ程度
2.ミドルレンジDTP──テキスト指向でレイアウト機能は高度
3.ハイエンドDTP──テキスト/レイアウト機能は高度で、文字・画像統合処理を指向 などになる。

このことは、単にCEPSの出展システムにかぎらず、他の展示会に見られるプリプレス分野のシステムに共通した特徴であり、当時の欧米の趨勢といえる。

CEPSでは、あえてプリプレスシステムとは称していないが、DTPはプリプレス分野の範 疇に入るシステムといえるし、また印刷分野のプリプレスシステムは、少なからずDTPの影響を受けていることは事実であった(つづく)。

他連載記事参照

2001/12/08 00:00:00


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