XMLはもう峠を過ぎたとか、最近盛り上がらなくなったということをプログラマの世界の人が話していてびっくりした。確かに新規の技術の話題性としては、XMLはOfficeXPで扱えるくらいだから彼らの関心事ではなくなったのかもしれないが、JDFなどを考えても現場で使われる日はまだまだ来そうにない。そう言う点ではXMLの開発の中休み的な状態に入ったのかもしれない。
XMLに関する関わりは、上記のプログラマのような、記法・スクリプト・コーディングの理解・修得という段階と、一般的なアプリケーション、隙間的なツールの作成というカスタム・セミカスタムな開発ビジネス、XMLデータベースのようなインフラ的な開発、それと使い方のコンサルティングも含めた応用開発など多岐にわたっていて、XMLに関する活発さにも温度差があるようだ。
使い方という点ではメタデータをどうするかが直面する課題である。データの活用についてあれもこれもと欲を出せばなかなか決まらないし、なにしろ相当人力によらざるを得ない作業だから設定・入力が大変になって立上げが遠のく。コンテンツホルダにとっては何が価値あるデータかの見極めの問題である。XMLによってデータの検索性は高まり、データの再利用は促進される。それはどういうものなのかということで、直接プログラムとははずれたところがキーとなる。
また一般向きアプリケーションが出てこないのもXMLの期待が薄れた原因の一つかもしれない。かつてアウトラインプロセッサとかいうワープロのような製品があって、章節項みたいな文書の構造をサポートしていた。それなどは今日のXMLエディタみたいな構造化文書編集ソフトに近いものである。またメールからグループウェアに発展したロータスノーツなどもXML化したら喜ばれそうなものである。メールは相手とかトピックごと、さらにその時系列などで整理して見たいものである。XMLを使ったアプリケーション開発の可能性は大いにあるが、挑戦するところが少ないのである。
これに関してはマイクロソフトの独り勝ちによって、ソフトウェア産業の芽が摘まれてしまったという人もいる。マイクロソフトに続く会社がないのは、マイクロソフトがライバルになりそうなところを潰してしまったからだという。しかしこれはマイクロソフトの責任ではなく、日本の横並び競争と対照的に、潰し合いにまで進むな競争社会を良しとするアメリカの風土にも原因があると思う。
いずれにせよOfficeよりも凝ったパッケージソフトの商売が難しい時代である。昔はそういうニッチ商売が多くあったが、それらもOffice+VBなどに取って代わられていく。XMLも.NETなどの軍門に下らないと進み難いと言うことになるのだろうか。今日の傾向はそうなので、ソフトウェアは、Office製品か、freewareか、自作・特注かの3種類しかないという状態になりつつあり、意外にXMLのアプリケーションベンダーが少ないということなのかもしれない。
テキスト&グラフィックス研究会会報 Text&Graphics 173号より
【関連情報】PAGE2002コンファレンス「XMLトラック」
2002/01/03 00:00:00