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燃えよ!! 印刷営業 営業力アップのコツ

営業戦略コンサルタント 山田英司

第1回 営業改革への助走

Q
A印刷会社の課長
『飛び込み営業をさせているのですが,一向に結果が出ないのはなぜですか!?』
山田
『即刻やめてください! 新規どころか,既存のお客様までなくしてしまいますよ!』

●請負業からアカウンター(クライアントとマーケットのハブ機関)への道

営業マン『ねぇ,初めてのお客様なのだけど,コレを至急でやってくれない!?』
制作  『ええっ! 無理ですよぉ! だってもう19時じゃあないですか!?』
    『今から始めれば,帰りは最終電車になってしまいます……。』
営業マン『そこをなんとかさ……。頼むよぉ!』
制作  『私にも都合があるのですけど……。』
営業マン『ホント!悪いんだけどさぁ……。』

印刷屋さんの営業マンって大変だなぁ……。お客様にもペコペコ,社内でもヒィヒィ。私の知っている印刷屋さんの営業マンには,たくさんの仕事がある。

その一つにまず,「営業」がある。これはいわばお客様に対する折衝,提案,日々の種まきといった具合。そしてその次に「業務」だ。お客様との細かいデータの受け渡しに始まり,頻繁に行われるやり取りの数々……。おまけに営業会議や報告書作成の仕事もある。それに最後には「作業」。自分で校正業務などをやっている営業君もいるくらい……。よその業界と比較すれば,すごい業務領域だ。お客様と話して,会議にも出て,おまけに製品まで作る。ほとんど一人芝居って感じかなぁ。

まず,この業態から考えないと印刷営業の改革は困難だ。もし,今の状態を無視して新たなことを始めれば,必ずしっぺ返しがやってくる。己の実力も知らず,無謀にも裸でのこのこ敵地に行くようなモノだ。
かつて「紙」を印刷する工場としてスタートした印刷業は,後に企業の紙媒体制作の請負業に変わった。作業・業務・営業と呼ばれる活動にはその名残がある。

つまり,まだまだ請負業としての業態から脱却できていないのだ。当然,営業活動と呼ばれる活動の中味も,実質は作業(20%)・業務(50%)・営業(30%)という流れになっている。営業改革の行きつく果てとは,これが作業(0%)・業務(30%)・営業(70%)になることを意味する。無謀な営業改革は,結果的に既存の業務活動のクオリティダウンしか生まないのだ。

●今回の戦略策定のヒント

まず,新規開拓を始める場合,その仕事の分担を業務全体から絞り出さなければならない。
無謀な取り組みは,結果的に悪影響しか生まない。もちろん取り組みの意味を社内全体が理解する必要もある。電話を取る女性がほんの少しの機転を働かせることが新規客を引っ張ることになり,既存顧客をよみがえらせるからだ。営業改革の手始めとは,まず既存活動の棚卸しと業務効率アップの実現なのだ。(次回は営業効率アップの実践について)

■山田英司■
アパレルの営業を経て,訪問販売業界の新規開拓営業でトップセールスを更新。その後,広告業界で販売促進,大手食品メーカーでブランド戦略に従事。2001年2月,山田英司事務所設立。営業戦略コンサルタント。
http://eijiyamada.com/

当連載では印刷営業の皆さんが新規開拓や戦略策定,日常の営業活動で抱える悩み,相談を山田先生にお答えいただきます。
プリンターズサークル掲示板 http://www.jagat.or.jp/pc/ への書き込み,または onodera@jagat.or.jpにメールをお寄せください。(プリンターズサークル2002年4月号掲載)

2002/04/04 00:00:00


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