かつて,典型的な内需型産業といわれた印刷産業は,グローバライゼーションの進展により,国際的競争に無関係とはいえなくなっています。低コストを求めての印刷需要の海外流出,また,インターネットなどの通信技術,生産技術の発達で,国境の枠を超えた印刷物制作が可能になりつつあります。
財務省の「貿易統計」によると,2000年の印刷物輸入額は,899億4000万円となりました。前年より6億8000万円減で,減少幅はわずかですが,ピークの1997年に比較すると26.2%の減少となります。一方,輸出額は前年比7.5%減の485億円となっています。これは,日本の景気不振による需要量の減少が原因と推定されます。
印刷品目別に輸入額のシェア推移をみると,ハガキ,カレンダー,宣伝印刷物などの商業印刷物が30.2%となり,前年より2.5ポイントの下落となりました。ここ数年徐々に割合を減らしています。金額では271億6400万円で,前年より8.2%の減少となりました。トップは2年連続で書籍で,そのシェアは40.6%と,前年より2.5ポイント増となりました。金額では,365億200万円で前年比5.8%の増加です。以下は定期刊行物(新聞・雑誌など)が3.3ポイント増の18.4%,包装資材が1.2ポイント増の6.2%と続きます。
輸出については,前年シェアを落とした包装資材が32.0%と,3.3ポイントのアップでトップとなりました。前年トップだった書籍は,31.0%と0.5ポイントシェアを上げましたが,2位に落ちました。しかし,書籍は長期的には低下傾向にあり,金額的には5年連続の減少となっています。94年以来シェアを上げ続けていた商業印刷物は,前年の30.2%から4.2ポイント下げ,26.0%と大幅にシェアを落としました。
輸入相手国をみると,ASEAN6カ国に中国,韓国,香港,台湾を加えた東南アジア10カ国の全輸入額に占めるシェアは,2000年は3.6ポイント増の34.1%と,過去最高となりました。東南アジアの経済危機で97年,98年と連続して減少しましたが,基本的には増加基調にあるといえます。
(プリンターズサークル 2002年4月号より)
2002/04/29 00:00:00