〜印刷界OUTLOOK2002（10）〜
●紙・板紙の需要は2年連続で増加
日本製紙連合の調査発表によると，2000年の紙・板紙の消費量（国内出荷＋輸入±流通在庫増減分等）は，前年比3.5％増で3213万トンとなりました。前年に続いて2年連続の増加で，過去最高となりました。
紙・板紙の需要は，大きく印刷・情報用，包装・加工用，衛生用の3つに分けられます。
1990年代に入り停滞していた紙・板紙の需要は，94年に増加傾向に転じた後は堅調に推移しています。98年こそ，紙・板紙ともに前年割れとなりましたが，全般的には増加基調にあるといえます。
この10年間の需要構造の変化をみてみると，90年は包装・加工用が50.1％，印刷・情報用が45.1％，衛生用が4.8％で，包装・加工用が需要の過半数を占めていました。2000年になると印刷・情報用が48.4％，包装・加工用が46.2％，衛生用が5.4％となっており，印刷・情報用の比率が高くなっています。
コンピュータ化の進展で紙の需要が減少するといわれましたが，現実には逆に増加しています。
●印刷業向けの出荷量はマイナス
日本紙パルプ商事の「図表：紙・パルプ統計2001年版」によると，2000年における印刷業向けの紙の出荷量は，474万5000トンで前年比5.7％の増加です。95年を上回る過去最高の出荷量となりました。出版業向けの出荷は206万トンと，前年より3.6％減となり5年連続のマイナスです。書籍・雑誌ともに，5年連続のマイナス成長で，販売部数の減少が続いていることが原因と思われます。
印刷業向けの出荷量の内訳をみると塗工紙が51.9％を占め，以下上級紙が14.3％，微塗工紙が12.7％で，近年は需要が落ちていた上級紙の割合が増えました。
●国民1人当たり249.9kgを消費
2000年の国民1人当たりの紙・板紙消費量は，フィンランドが351.7kgでトップで，以下ベルギー340.7kg，アメリカ331.7kg，スウェーデン277.1kgの順で日本は249.9kgで7位です。近年は木材資源の有効利用が課題ですが，古紙の利用率は，日本は57.3％で韓国（74.8％），ドイツ（60.5％），フランス（57.8％）に次いで4位です。
（プリンターズサークル 2002年4月号より）
2002/05/14 00:00:00