本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

合格はゴールではなくスタート

◆有限会社藤森システムサポート 藤森 哲司

 かつて私は一般企業の電子系エンジニアとして,ごく普通のサラリーマン生活を送っていました。ところが10年程前,初めて触ったMacintoshにすっかり惚れ込んでしまい,それがその後の人生を大きく変えることになってしまったのでした。
 初めてのMacはSEという一体型のコンパクトMacでしたが,その時9インチのそのちっちゃなモノクロモニタの向こう側に,虹色に輝く世界が見えたような気がしたのです。
 それからまもなくMacに関係した仕事がしたくて転職し,3年前からは,とうとう独立して自分で仕事をするようになりました。

 現在の業務の内容は,企業や個人で使っているパソコン・コンピュータ・通信システムのサポートやコンサルティングを中心に,ホームページの作成やデータベース開発など多岐にわたっています。プラットフォームもMacだけでなく,Windowsはもちろん最近ではLinux関係も徐々に増えてきています。
 DTPに直接関連した業務ばかりではないのですが,でもMac関連の業務の半分くらいはデザイン,印刷,新聞関係のお客様ですし,また当社でもホームページのデザイン業務を行う際には,PhotoshopやIllustratorを使ったりしていますので,それなりにDTP分野に関わっているほうだとは思います。

 さて次にDTPエキスパート認証試験を受験することになったきっかけについて書いてみたいと思います。
 仕事柄,デザイン・印刷・新聞雑誌関係のお客様の依頼を受けてシステムをサポートすることも多いのですが,日ごろから,やはり使用するハードやソフトに関する知識だけではなく,お客様の業務内容や業界の常識といったものをある程度理解していないと,よりユーザサイドでのサポートができないなということを痛切に感じることが多く,それで本格的にDTPのことを勉強しようと思ったのが最初のきっかけでした。
 勉強にも,人それぞれいろいろなやり方があると思います。私の場合は一つの分野について体系立てて勉強できるということ,試験日が設定されることで勉強をそれまでにやらざるを得ない状況に追い込んで自分に勉強させることができるということ,この2点のメリットを重視し,勉強と実益(?)を兼ねてDTPエキスパート認証試験を受けてみることにしました。
 最初にチャレンジしたのは1999年の3月のことでした。DTPに関しては,その時初めて本格的に勉強したといってもよく,覚えなくてはいけないことも多くて大変でした。結果は筆記は何とか合格ラインを突破できたものの,課題制作が1点足りずで惜しくも敗退。
 それ以降2回挑戦するも,どうしても課題制作のあと1点の壁を乗り越えることができず,この時点で半分あきらめかけたのですが,何とか2001年8月の4回目の挑戦で合格することができました。うれしいというよりは,「ホッとした」というのが正直なところで,やはり実務で本格的なDTP業務をしていない私にとっては,課題制作はなかなか厳しいものがあるなあと感じました。
 こうして何とかDTPエキスパート認証試験に合格できましたが,合格して感じるのは,「合格とは最終ゴールなのではなく,あくまでもスタートなんだ」ということです。スタートラインに立たせてもらい,これから本当のプロとしての勉強が始まるのだなとしみじみ感じました。

 ちなみに資格を取得したことで,新しい仕事が急増したなどということは,残念ながら今のところありません。もちろん私自身もそれはほとんど期待していませんでしたし,やはり資格の有無よりは実力を問われる世界だからこそと思ってもいます。
 でもこれだけははっきり言えます。そのために勉強したことは,いろんな場面で役に立っていると。何よりDTPに関して幅広い知識を得ることができたことは,お客様の業務を理解して,それをサポートする上でとても役に立っています。それゆえ,こちらから積極的に提案できる場面も増えてきたように思います。
 これからもお客様とともに,より良いシステム作りのお手伝いをさせていただけたらと思っています。

 
月刊プリンターズサークル連載 「DTPエキスパート仕事の現場」5月号


INDEXに戻る


閉じる


2002/04/30 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会