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非紙媒体印刷事業の収益性

現在の印刷産業全体の売上内容を見ると、エレクトロニクス関連と非紙媒への印刷が中心となる容器包装・特殊印刷の比率は20%強である。これらは、大手印刷業が中心になって開拓してきた市場だから、大日本印刷や凸版印刷におけるこれらの分野の売上構成比はかなり大きい。
は、凸版印刷の連結及び個別決算資料を元に、事業分野別の売上高と営業利益についてまとめたものである。残念ながら、商業印刷部門、出版印刷部門といった単位での収益性はわからないが、3つの事業系統単位での利益状況を知ることができる。

2001年度における3事業系統の売上構成比をみると、情報ネットワーク系が約6割、生活環境系が3割弱、エレクトロニクス系が1割強となっている。証券・カードに含まれるカードには特殊印刷的な要素があるが、その額は小さいから一般的な紙への印刷とそれ以外の事業からの売上構成比は大雑把に6:4と見ていいだろう。

一方、営業利益額をみると、情報ネットワーク系の事業から生み出される営業利益は全体の6割強で、生活環境系が15%、エレクトロニクス系が2割強となっている。情報ネットワーク系の営業利益の構成比は売上とほぼ同じだが、生活環境系とエレクトロニクス系では逆転している。図で見られるように、エレクトロニクス系の対売上営業利益率が9.8%という非常に高い水準にあるのに対して、生活環境系事業の営業利益率は3.1%で、3事業系列中最も低くなっているからである。この2事業全体としての営業利益率を計算すると5.3%で、情報ネットワーク系事業の営業利益率6.7%よりもやや低くなっている。
いずれにしても、営業利益面における、一般的な紙への印刷とそれ以外の事業からの構成比は、売上と同様の6:4になっている。

2002/06/25 00:00:00


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