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印刷物はお客様の求める最終ゴールではない

〜ニュートレンド・インタビュー 第1回〜

日本アイ・ビー・エム株式会社

印刷市場は成熟し,既存の印刷物の総量は減少に転ずるといわれている。今後印刷業界が産業として成長を続けるには,新たな印刷メディアビジネスを創出しなければならない。その観点から,新しい流れを作ろうとしているベンダーの方々へのインタビューを企画した。第1回目は,日本アイ・ビー・エム プリンティング・システムズ事業部長の西出雅一氏に同社の戦略について伺った。

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IBMはe-ビジネスのインフラを提供する

(西出氏)

IBMというと,多くの方はサーバとかコンピュータ群の会社と思われるでしょうが,プリンタはラインプリンタから高機能印刷プリンタやフルカラープリンタまで多くの機種を揃え,高速印刷機分野では25年の実績があります。

その中で私どもは,お客様がビジネスとして何をなさろうとされているのか,その目的に対応できるように機器,ソフトウエアを取り揃えています。IBMのプリンティングシステムは,印刷するのみではなく,アプリケーション,ソフトウエアにも大きな力を注いでおり,多様なメディアに対して十分に対応できるプリンティングシステムとなっています。

また,パーソナルカタログにおける個人情報の扱いや有価証券のナンバリング管理など,印刷システムとして稼動状況を1枚単位で誤りなく把握できなければなりませんので,印刷における厳密性(インテグリティ)ということにも常に留意させていただいております。

IBMは,プリンティングシステムを次世代e-ビジネスを推進するための重要なファクターと位置付けています。サーバ,ソフトウエア,プリンタなどの周辺装置を併せもつことで,IBMはe-ビジネスを築くためのインフラをトータルにお届けします。

AFP(Advanced Function Presentation)

印刷はお客様がやりたいことの一部,ビジネスの一部です。従いまして,紙の上にトナーを載せる(つまり印刷する)だけではプリンティングシステムとして不十分だと考えています。Eメールで送る,ファックスで送る,PDFにする, CD-ROMにする,あるいはHTMLやXMLに出すということも私どものプリンタのやるべきことであると思っています。お客様のやりたいことができるプリンタという位置付けで,そのためには何が必要かを定義し,IBMの製品とソフトウエアとサービスを開発,提供させていただいております。

IBMのプリンティングシステムの仕組みからすると,アウトプットのメディアが変わっても,基幹データと基幹アプリケーションはそのままに,アウトプット側だけ,メディアだけ簡単に選べるようにしていこうというのがわれわれの考えです。プリンタといえどもプリントするのがプリンタではなく,見たいデータを,見たいお客様に,適切なタイミングで,より安くお届けする,これが私どもプリンタ事業自体の目的です。

単純に紙の上に印刷するだけではなく,プレゼンテーションとしてどうするのかということで「AFP;Advanced Function Presentation」とし,ビジネスインフラとなり得る高機能プリンタソフトウエアおよびサービスを提供させていただいております。

では,IBMのプリンタで何ができるかを実際にご覧いただこうということで,新子安にPODセンターを開設しています。当初はデモセンターという位置付けでしたので,1つのシステムなりハードを見ていただくだけでしたが,今はAFPソリューションの事例をご覧になっていただけます。

印刷をベースにしたお客様のさまざまな要求に応えられるプリンティングシステム,それはe-ビジネスのインフラであるということをお話しさせていただきましたが,印刷業界の方々にはそのインフラを集約しておもちいただくことによって,産業としての成果をより大きくしていただけるものと思っています。

アプリケーションを増やして市場を増やす

お客様にとっては,アウトプットそのものが価値ですから,その価値を作り出すためのアプリケーションを作るということをやってきています。例えば,圧着葉書のように紙メーカーさんとタイアップして,今までプリンタでは使えなかったようなメディアを開発するなど「用途開発」をしています。これらはビジネスの現場で求められるアプリケーションそのものということになります。このようにプリンティング・アプリケーションを増やしていくことは,印刷業という市場を広げていくことを意味します。

例えば,通販の会社がこれからどういうやり方をしていこうとされているのか,どのように効果のあるなしを判断し,ビジネスを決定されていかれるのか。既存の概念に捕らわれないで,ビジネスプロセスの始めから終わりまでを見渡して,お客様が本当にやりたいことは何なのかというところまで考えて,アプリケーションを提供していかなくてはならないと思っています。そうして始めて,最終工程である「出力」の価値が生きてきます。

パーソナルカタログや個別DMなどのビジネスは,集約することによって力が発揮できるようになると考えています。共同でデータ印刷センターをもつということが想定されます。また印刷するところだけでなく,データ入力やデータ処理で始まるところから業務を集約するということも効果を出せるやり方であると思っています。

JAGATの主催するPAGEには2年続けて出展しましたが,多くの方々にIBMのプリンティング・ソリューションを見ていただくことができました。PAGEは,業界の将来的な動向とIBMの目指していることがいかに整合性をもっているかということを知っていただく場として活用させていただきたいと思っています。

IBMのe-ビジネスのインフラによって,印刷業界の方々にはより高いビジネス・オポチュニティを得ていただくことができると思っています。


■図:IBMプリンタラインナップ(クリックすると拡大)

■出典:JAGATinfo 2002年4月号

2002/07/24 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会