社団法人日本印刷技術協会(JAGAT:東京都杉並区)の通信&メディア研究会は2002年6月,JAGATの会員を中心とした日本の印刷会社1000社の経営者を対象にデジタルコンテンツビジネス動向アンケートを実施した。FAXで1000社にアンケート用紙を配布したところ,90社からFAXで回答が寄せられた。大都市を抱える都府県からの回答数が半数で,それ以外は,北から南まで比較的分散して回答が得られた。
10名未満と500名以上の社員数を抱える企業の回答は無く,10〜49名の企業が27社,50〜99名の企業が32社と6割以上を占めている。
社員数 |
|
(1)1〜9名 |
0 |
(2)10〜49名 |
27 |
(3)50〜99名 |
32 |
(4)100〜199名 |
18 |
(5)200〜499名 |
13 |
本項目では社内でメディアの制作やシステムに関わるスタッフの人数について,社内と社外を分けて質問した。
印刷に関わりの深いプリプレスやDTPの制作に関わるスタッフの数は,10-19名が26件,20-49名が23件というようにかなりのDTPスタッフがいる。
(1)1-4名 |
11 |
(2)5-9名 |
16 |
(3)10-19名 |
26 |
(4)20-49名 |
23 |
(5)50-99名 |
11 |
(6)100-名 |
1 |
(7)無回答 |
2 |
合計 |
90 |
1-4名が20件,5-9名が9件,10-19名が8件と,小規模の社外スタッフを多くの会社が採用している。
(1)1-4名 |
20 |
(2)5-9名 |
9 |
(3)10-19名 |
8 |
(4)20-49名 |
7 |
(5)50-99名 |
2 |
(6)100名以上 |
1 |
(7)無回答 |
43 |
合計 |
90 |
1-4名が50件,5-9名が9件と10名未満の電子メディア制作スタッフのいる企業が66%にもなる。デジタルメディアの売上は,まだ事業におけるシェアが低い企業が多いという点からみても(参考: ),少人数で進めている企業が多いようだ。
(1)1-4名 |
50 |
(2)5-9名 |
9 |
(3)10-19名 |
3 |
(4)20-49名 |
2 |
(5)50-99名 |
0 |
(6)100名以上 |
1 |
(7)無回答 |
25 |
合計 |
90 |
社外のWeb,電子メディアの制作スタッフをかかえるところは4割とぐんと減り, 34%の企業が10名未満のスタッフに依頼していて,社内スタッフが中心で取り組んでいることがわかる。
(1)1-4名 |
23 |
(2)5-9名 |
7 |
(3)10-19名 |
0 |
(4)20-49名 |
4 |
(5)50-99名 |
0 |
(6)100名以上 |
0 |
(7)無回答 |
56 |
合計 |
90 |
システム管理については,1-4名のスタッフに任せている企業が68%あり,少人数で運用していることがうかがえる。
(1)1-4名 |
61 |
(2)5-9名 |
5 |
(3)10-19名 |
2 |
(4)20-49名 |
2 |
(5)50−99名 |
0 |
(6)100名以上 |
0 |
(7)無回答 |
20 |
合計 |
90 |
社外のスタッフにシステムを任せている企業は3割程度,システムに関係するアウトソーシングの利用は少ないとみられる。
(1)1-4名 |
25 |
(2)5-9名 |
2 |
(3)10-19名 |
1 |
(4)20-49名 |
0 |
(5)50-99名 |
1 |
(6)100名以上 |
0 |
(7)無回答 |
61 |
合計 |
90 |
(1位5ポイント,2位4ポイント,3位3ポイント,4位2ポイント,5位1ポイントで計算した点数を集計)
CD-ROM,DVDパッケージ制作が209ポイントと一番多い。ホームページデザインが204ポイント,企業のWebサイト構築が114ポイントとWeb関連のビジネスの比重が高いことが伺える。次いで「電子カタログ/電子マニュアル制作」と「データベース構築」が87ポイント,「社内文書のデジタル化」が84ポイントとなっている。
売上の順位を5位まで質問したが, 1位については75社が回答しているものの,5位まで全てを回答しているところは24社と,全体の約4分の1であった。
(1) CD-ROM,DVDパッケージ制作 |
209 |
(4) ホームページデザイン |
204 |
(5) 企業のWebサイト構築 |
114 |
(2) 電子カタログ,電子マニュアル制作 |
87 |
(9) データベース構築 |
87 |
(3) 社内文書のデジタル化 |
84 |
(8) ネットワーク,システム構築 |
35 |
(12) 電子書籍等のコンテンツ制作 |
25 |
(7) コンテンツ配信のASP |
14 |
(10) 映像制作 |
12 |
(6) ECサイトのASP |
4 |
(11) デジタル音楽製作 |
0 |
(13) 電子政府 |
0 |
(1位5ポイント,2位4ポイント,3位3ポイント,4位2ポイント,5位1ポイントで計算した点数を集計)
ホームページデザインや企業のWebサイト構築は4位と5位に後退し,データベース構築が184ポイントと1位になっている。依然としてCD-ROMなどのパッケージ制作も130ポイントと上位で,3位には電子カタログ,電子マニュアルがきている。次いでネットワーク構築が89ポイントとなっており,コンテンツの制作よりは,システム設計やデータベース設計など情報処理に重点を移している。
売上の順位を5位まで尋ねたが,1位については66社と前の質問よりも回答数が少なかったが,5位までこたえている企業は 37社と前の質問を上回った。
(9) データベース構築 |
184 |
(1) CD-ROM,DVDパッケージ制作 |
130 |
(2) 電子カタログ,電子マニュアル制作 |
110 |
(4) ホームページデザイン |
108 |
(5) 企業のWebサイト構築 |
101 |
(8) ネットワーク,システム構築 |
89 |
(3) 社内文書のデジタル化 |
49 |
(12) 電子書籍等のコンテンツ制作 |
43 |
(7) コンテンツ配信のASP |
33 |
(6) ECサイトのASP |
16 |
(10) 映像制作 |
10 |
(13) 電子政府 |
0 |
(11) デジタル音楽製作 |
0 |
社員の自主性に任せているが28社あり,無回答の2社を含めると,企業側で特別なサポートをしていない企業は約3割であった。最も多い支援の形は受験費用の支援(36社)であった。次いで,特別な支援をしていないが進めているが32社,人事考課に反映している企業は22社,手当てを至急するなど積極的に勧めているが20社であった。
DTP関連の資格保有者が1-4名いる企業が58社,5-9名の企業が5社で全体の8割に及ぶ。情報処理関係資格者が1-4名いる企業は42社,5-9名は5社ある。
デジタルビジネスの売上比率は,数%以下の企業がダントツに多く64社であった,10%は10社,20%,30%になると3社である。その一方で,70%以上を占める印刷会社も2社ある。
人材面で困っている分野は,営業が最も多いことがうかがえる。一番困っていると応えた企業は34社,2番目に困っているとするところも15社あった。従来の単なる営業ではなく,デジタルメディアなど新たな分野における提案ができる人材不足がうかがえる。また,次々に新たな技術が登場する中で,最も重要な技術を見極めることができる,「技術の方向性を判断できる人」を2番目に不足していると応えている企業が24社あった。
困っている人材 |
第1位 |
第2位 |
第3位 |
(1)経営面 |
5 |
6 |
8 |
(2)営業 |
34 |
15 |
12 |
(3)技術の方向性を判断できる人 |
14 |
24 |
15 |
(4)現場リーダ(制作部門内の監督) |
14 |
11 |
17 |
(5)SE(対外折衝) |
14 |
9 |
12 |
(6)コーディング作業(プログラム等) |
4 |
12 |
8 |
■アンケート実施:社団法人日本印刷技術協会通信&メディア研究会
■2002年7月23日付けコラム
売上のわりには電子メディアに積極的な印刷業(同アンケートの集計結果に対するコメント)
2002/07/07 00:00:00