製本工程に限らず、いくつかの工程をインライン化したシステムに共通する問題は、全ての部分の調整に時間が掛かることと、どの部分に不都合があっても、ライン全体を止めなければならないということであった。したがって、ロングランの仕事以外での生産性は非常に低くならざるを得なかった。しかし、上記のようなシステムが可能になれば、少なくとも前者の問題はかなりクリアできるだろう。
マスマーケティングからターゲティッドマーケティングへシフトする中で、顧客データベースを使って顧客の嗜好を分析し、その結果に基づいて個々に異なる折丁を選択、丁合し、顧客の宛名印刷も行うセレクティブ・バインディングは、カタログ分野で使われるようになってきた。全ての顧客に同じカタログを配る従来の方式に比べて、レスポンス率は数倍に上がるという。
雑誌の販売促進、広告効果アップを狙った付録の添付や広告ページへの現物添付が増えてきている。このようなニーズに対応するために、他の本や印刷物,サンプル,CD-ROM等を投げ込み、あるいは糊付けして印刷物の多様な組み合わせでの発送セットを作ることができる設備も出されている。これに、顧客データベースに基づく選択丁合機能を結びつければ、顧客毎に異なる発送セットを作るセレクティブ・パッキングも可能である。
従来、無線綴じの糊として使われていたEVA(エチレン酢ビ)の代替品として、空気中の水分によって反応が進み硬化するPUR(Polly Urethane Reactive)が出てきている。紙のリサイクル適性の問題と製本強度向上、見開き性の改善が期待できるからである。ただし、PURホットメルトが高価であることや管理面での問題に対する工夫、使いこなしのための習熟が必要である。図書印刷は高級書籍においてPUR製本を実用化、中小製本会社での使用事例も聞かれるようになった。
(出典 JAGAT 発行「2002-2003 機材インデックス」ー工程別・印刷関連優秀機材総覧―)
2002/08/25 00:00:00