Q:デジタルというのは0と1でどこへ持っていっても,そのまま再現できるはずだったのでは?
相馬:アナログ時代の版下,カラーポジ,網フィルムは暗黙のルール,つまり版下は原寸などの標準ルールがあったために,どこへでも持っていけたために,ほとんど問題をおこさなかった。ただし,デジタルの0と1はかわらないが,フォーマットの違いがある。
Q:そもそもDTPはポストスクリプトなど,フォーマットがオープンになっている世界で発達してきたのではないか。
相馬:現実には特定のアプリケーションソフトがフォーマットにデータを作る。デジタルの版下を作ったり,版データを作るアプリケーションを様々なメーカーが提供したので,細かなフォーマットの違いがでてきて,互換性がむしろ悪くなってしまったのではないだろうか。
Q:DTPの制作側はAdobeやQuarkが寡占化したために互換性が高まった。DTPの延長上の中で,互換性が顕著に表れているのはどこか?
相馬:同じアプリケーションソフトでも,印刷のプロ用途ということは,客から細かい要求がでてくるので,バージョンの違いさえも,非互換性の大きな要因となっている。
CTPが普及したことで,出力側でも入力側と同じような問題が起こる可能性もある。
Q:どこからどこへデータを渡すということか?
相馬:アナログ時代に版下や網フィルムをほとんどで説明無しで外注や協力工場に渡していたのと同じようにデジタルデータも渡したいというのが、印刷会社などユーザーの声である。
Q:DTP制作でのバージョンの違いと,CTPにおけるフォーマットの違いという2つの互換性の問題があるというのとですね。
相馬:入力データの検査を実際にチェックソフトなどで行っているのは半分程度である。チェックされていないというのは,逆にいえばデータの中身が分っているような限定された相手としか,やりとりしていないということも考えられる。しかしそのままでいいわけではない。
Q:つまり,ワークフローの自動化という観点ではプリフライトは,システムの中に組み込まれて,自動化できる環境が必要となる。
相馬:JDF,AMPACが期待されているが,現実に会社の中で利用するためには社内の情報のやりとりのIT化が進んでいなければ現実には導入は難しい。
Q:CTPの目前の課題はデータが不確かだということもあるが,外注の問題もある。CTPの出力メーカーは限られているのに,なぜ互換性がとれないのだろうか。
相馬:CTPメーカーは,出力データを作るRIPまで,自社専用として提供し続けているので,ユーザからみると,似たようなデータでも違うメーカー,違うシステムにデータを渡すと,うまく出力できないということが起こる。
Q:互換性の欠如で1bitTIFFという原始的な方法に頼ろうという傾向もあるようだが。
相馬:現実に社内でCTPまで含めたグループ会社内での電子送稿が実現した印刷会社でも,印刷を外注する場合でもフィルムのやりとりしかできていない。CTPデータのやりとりができていないということを,経営者は大きな問題にしている。
メーカーにはそれぞれ自社ノウハウにこだわりがあるのだろうが、成り行きで1bitTIFFに押されるのではなく、相互の協調し合って、異なるDTPソフトやCTPから入出力する場合にもスムーズに仕事が流れるような検証やフォーマット、データをやりとるする際のルールを提供してほしい。また,CTP周辺だけでなく,工程管理と生産システムを結びつけた大きな概念でのワークフローの自動化のソリューションの提供をする必要もあるだろう。
WebMaster:ありがとうございました。
2002/08/29 00:00:00