JDFなど電子送稿に関連する共通互換規格
印刷制作において今後は系列外の印刷会社や関連業者同士のデータ共有化によるコラボレーションが各工程でも必要になって来る。こうなると特定の社内システムのみ処理できるような電子送稿への対応では通用しなくなる。今後は電子送稿に関わる印刷発注者/広告会社/製版会社/印刷会社/出版社といった、印刷コンテンツならびにメディア制作の役割りを担う企業側は、企業の枠をこえて受注から納品配送まで一貫化できるような電子送稿対応のシステム化を行なう必要がある。
この時にJDFのような共通互換性のあるフォーマットを利用して素材情報や工程情報などの付加情報を、原稿やパーツなどの部品データとともにやり取りする。受け取った共通互換データをどのように処理するかが、競争する部分である。
しかしCIP3に比べて扱う範囲が拡大した分、JDFによるワークフローが実現したときの姿が分りにくくなってきている。そこで11月29日のテックセミナーでは「JDFワークフローでどう変わる印刷工程」(2002年11月29日)を探っていく。
今回検討するJDFを含めた、電子送稿に関連する標準や規格の相互の関係を次に示す。
出典:印刷工程における電子送稿及びデジタル情報の標準化調査研究報告書(平成13年3月 (社)日本機械工業連合会/(社)日本印刷産業連合会)
CIP4/JDF
CIP4/JDF(International Cooperation For Integration of Processes in Prepress、 Press and Postpress/Job Definition Format)は、CIP3で開発が進められてきたPPFのコントール性に、Adobeが開発したPJTFのもつより細かいプリプレスの作業情報を付加し、さらに次世代に要求されるであろうコントロール属性を付加するかたちで提案されたものである。JDFはAdobe、AGFA、Heidelberg、MAN Rolandといったプリプレス、プレス、ポストプレスの大手が共同でXMLをベースに開発し、2000年6月にCIP3に提案され、数カ月に渡り議論され2000年9月に最終的にメンバー全員一致でPPFの進化したものとして受け入れられ、これを機にCIP3はCIP4と名称を変更した。JDFは主に次の3項目を達成するために設計されている。
@プリプレス、プレス、ポストプレスの情報を統合する
AプロダクションとMIS(Management Information System)との連携の架け橋となる
B現存するシステムがどんなものであろうと、どんなツールを使っていようと上の2項目は達成される
CIP3/PPF
CIP3 (International Cooperation For Integration of PrepressPress and Postpress)のPPF(Print Production Format)はプリプレス、プレス、ポストプレスという印刷の全ワークフローを統合し、その各工程間で処理や管理のデータをやりとりするためのフォーマットである。
PPFはPostScriptをベースにしており,管理情報やインキの調整,断裁位置の指定などさまざまな情報を扱う。品質の安定化、ミスの低減、処理の高速化、生産設備の効率的運用を目的に1995年に結成された「CIP3」で開発された、ポストスクリプトをベースにした標準フォーマット。1993年12月の独Heidelberg社のプロジェクトを発端として開発が進められた。PPFは作業の限られた内容のコントロールのみで、現在までいくつかの対応システムが発表されているが、現実的には多くの場合、印刷機のインキツボキーの調整にのみ使用されている。
Adobe PJTF
PJTF(Portable Job Ticket Format)アドビが提案したJob Ticket(作業指示書)を記述するための仕様。PDF文書を対象にしており、処理すべきPDF文書の履歴や作業指示、管理情報などを伝えるため、PDFの機能を拡張している。PJTFに基づいて作成したJob Ticketを使って、対象となる文書の情報や必要な処理を次工程に伝えていくという仕組みである。
Job Ticketの指示を理解し、実行するのがJob Ticket Processor(JTP)である。Job Ticketを使ってPDF文書を受け渡し,いろいろなPJTPを組み合わせて必要な処理を行なうワークフローを構築するコンセプト、アーキテクチャがExtremeである。
AMPAC
AMPAC(Architecture Model and PArameter Coding for graphic arts)は印刷工程管理のためのデータベース構造モデルと制御パラメタの符号化の規格。設計、プリプレス、印刷、印刷物加工などで使う材料及びデータ、機械及びオペレータへの作業指示など、印刷関連の生産工程で存在する様々な種類の制御パラメタ間を関連付け、生産工程の中で、これらを正確に定義、交換し、効率的かつ知的な生産工程を構築することを目的としている。
この規格は、世界的規模での共通情報交換の基盤を提供され、規格の利用者は、AMPACと呼ぶ分散型データベース上のあらゆる情報に自由にアクセスでき、アクセスした情報を生産工程の制御に利用できる。AMPACでは、印刷工程で使われる総ての要素を抜き出したパラメータ名のリストを、業界全体で協力して作成することを提案している。
2002/11/19 00:00:00