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新しい利益の源泉は何ですか

デフレ下で利益を生み出すことは大変難しくなりました。利益の源泉として,近い将来の課題と当面やらなければならない課題とがあると思います。
近い将来の利益を考えれば,営業では,徹底した深耕作戦と新規開拓活動。生産現場では,データベース化を始めとする生産方式の転換。人事面では,多能工化および高パート比率化の徹底などを手掛ける必要があります。
当面の利益を考えてみると,既に外注生産を社内生産に切り替え,また材料費削減などのコストダウンについては実行に移しています。
これから実施しようと考えていることは「営業費2%アップ」運動です。入札物件は総額勝負ですから,無理でしょうが,随契であれば可能でしょう。
現在の営業費は10%,15%,20%……と末尾が0か5になっています。何となく慣習で0か5にしているだけです。12%,17%,22%ではいけないのでしょうか?
今すぐには得意先の了解を得ることは難しいでしょう。半年掛けて交渉することにしました。
ここで得た2%は経常利益そのものです。これを可能にするのは営業マンがその気になって真剣に取り組むかどうかです。得意先から営業マンが信頼されているかどうかです。
理屈はとにかく,やってみる価値はあると思います。いかがでしょうか?

(東京・匿名希望)


オンデマンド印刷は死語だそうですが,プリンタを使ったビジネスは増えています。
かつては600dpiの普通紙プリンタは「版下用」といわれていたものが,オフィスでカラーでバンバン使えるのですから,きっとオフィスにも版下製版レベルの元原稿を作るニーズはあるんじゃないかなと思い,「印刷の仕事ください」から「プリントのお手伝いします」に営業姿勢を切り替えようとしています。
幸い社名がカタカナですので,印刷が得意な「デザインとITの会社」といった面構えで商売を伸ばしたいなと画策しています。どこから利益が出るのかというのは,ビミョーなとこです。今は付随して開拓できる従来の印刷で利益は出ています。
そうこうしているうちにクライアントの目がレーザプリンタのカラー紙面に慣れたら,しめたものだと思います。それで良けりゃ,専門業者のほうが高性能で単価の安いデジタルプリンタを設置できるのですから,プリントの仕事は集めて利益が出るようにもっていけるのではないか…というのは,何とかの皮算用でしょうか?
(匿名希望)


現在の厳しい経営環境のなかでは,設備にどんどんお金を使えないので足元の生産性を上げることを最大の課題にしている。生産性向上の一つのポイントは,生産技術の不断の向上によって品質保証をし,できれば標準化していくことである。もう一つのポイントは,ビジネスプロセスを合理化しホワイトカラーの生産性を向上させることであると思う。
その時,顧客と情報を共有すること,つまり顧客とつながることが最もダイナミックなコストダウンになると考えている。その意味で,2003年の最大の課題は顧客との接点となる営業の部分の合理化を取り扱う。これからの印刷業務は,生産管理がデータベースのハブになり,すべての仕事に必要な情報はこのハブを介して必要な所に届けられるようになる。これを参照しながら仕事に参加するすべての人が仕事を最短距離で進めるというのが考え方の基本である。これを目指して,今年から新しい社内プロジェクトを立ち上げた。
(匿名希望:東京出版印刷)


売り上げの伸びない時代,利益を生み出すにはコスト削減ということになる。労働分配率の高いわれわれ中小印刷業者はなおさらで,人件費削減の方策があれば飛び付いている。
最近のヒットは,印刷組合ドットコムという東印工組のビジネス支援事業体が始めた印刷用紙の共同購買サイトへの参加である。メンバー登録してサイトに行くと価格交渉済みの用紙価格表があり,即用紙の発注ができる。最も便利なのが営業スタッフが見積書を作成する時で,サイトの価格表にアクセスしてそのまま見積書にコピーペーストすればよい。これで平均の見積もり作成時間が1/3になってしまった。
業務時間の削減効果はそのまま利益のハズである。今までは紙業者の担当営業にわが社の価格を聞いており,先方の営業がいないと見積もり提出が半日遅れてしまうこともあった。30人の営業スタッフが皆,ドットコムのIDとパスワードをもって用紙発注も行うが,業者の営業経由とは今まで何であったのか疑問がわいてきた。
(印刷組合ドットコムに参加の印刷会社)


新たな利益の源泉ということでは,いくつかチャレンジしているが,まだまだ印刷が生み出す利益には比べるほどもない。当社もご多分にもれずWeb制作は行っているが,「労多くして功少なし」といった状況である。スタッフの大部分が印刷制作との兼任ということもあり,どうしても印刷の視点が抜けないことが,悪いほうに影響しているようだ。そこでリスクは覚悟の上で新たな人材採用を含め,専任体制でコンテンツ部分の企画から制作・運営までを行う部門を作る予定である。内容もWeb全般ではなく携帯・モバイルコンテンツを中心にする。勝算はあるつもりだが,事業の進退は早めに見極めるつもりだ。
(東京・T)


印刷業の基本は,印刷が得意なこと,という原点に帰るのがわが社の原則です。その上で社内の銘々が業務のテリトリーを広げるのは妨げません。だが,まず非常に有能な現場を確立するのが先決です。
しかし,有能とベテランは違います。従来のベテランのこだわりではなく,もっとエンジニア的な探究心に満ちた人に活躍してもらいたいものです。
先般,お菓子の工場を見学して,機械は動いているのに働いている人の少ないのにびっくりしました。これでないと日本では生きていけないと思いました。
当然お菓子はおいしくないと商売にはなりませんが,その作り方において独自の工夫でコストダウンでも負けないという技術力が問われているのではないか,というのが感想です。
今日では,CTP,カラーマネジメントなど,エンジニアの視点が求められる作業が増えてきました。ISO9000を取得する過程で気づいたのですが,仕事のやり方は統計的に答えを出せるような方法にしないと,大きな改善にはならないのではないかということです。
印刷の仕事は急には減らない前提で,営業も,経営管理も,現場も,日々シビアに管理して損を出さないで利益を出す会社になりたいです。
(大阪・匿名希望)


メイドインジャパンが世界一だった時代から,今では中国が世界の工場といわれています。安値受注に苦しむ印刷業にとっても,よそ事ではない話ですが,先日,日本金型工業会の話を聞くチャンスがありました。高度な金型技術が製造業を底支えしてきたことは周知の事実ですが,最近では取引先から金型図面を一緒に納品することを求められ,仕方なく応じると,次回からは注文は来なくなって,中国などで製造されるようになっているとのことです。コスト削減,合理化が最優先される時代だが,本当にそれでいいのか,このまま空洞化が進めば何が残るのか,と問い掛けていました。
知的財産に対する意識があまりにも低いことを改めて思わされました。受注産業では特許を取っても仕方ないという考えさえありましたが,そろそろ本腰を入れて知的財産の活用を考えなくてはと考えているところです。
(東京・匿名希望)


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2003/03/20 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会