韓国の輸出動向について(統計局データ、会員メンバーの調査)
韓国の印刷物の輸出は伸びてはいるが、ここ4-5年は停滞しています。一億USドルベースで推移しております。この金額は韓国の印刷市場の2.5%程度に過ぎません。まだまだ輸出が少ないといくことです。なぜ伸び悩んでいるかといいましと、第一に輸出企業の数が少ないということです。輸出の気持ちがあっても専門家がいないので断念したところも多いでしょう。もう1つの理由は、輸出のマーケットに対して十分に多様化ができていないことです。つまり特定の国に特定の製品を輸出していたのでは伸び悩みになってしまします。より多くの国を取り込み、品目も多様化しなければなりません。3番目として輸出の専門家の育成が遅れているといくことです。印刷業界では言語に関する知識、印刷工程に関する知識、印刷技術に関する理解、また国際商取引の経験を持った人材の育成が必要です。ときどき海外から韓国の組合聯合会の方に問合せがはいりますが、このときに取引の数量が大きい場合は大手の印刷会社に話を回しますが、引き合いの数量が少ない場合は適当な企業を探すことが非常に困難です。つまり中小の場合は専門家が育ってないからです。
韓国の印刷物は主として北米、ヨーロッパ、日本向けに輸出されていますが、ナンバー1はアメリカです。日本は地理的にも文化的にも近いので、本来であればもっと伸びて良いはずですが、現実はまだまだ限られたものでしかありません。より詳しく突っ込んだ検討をすることで日本のマーケットへの韓国の輸出を伸ばす努力が必要だと思っております。
印刷の取引も一般的なものと同じで、まず契約を結びます。次ぎに印刷に関する詳細な情報を入手します。最近はCDで受渡しをします。大手企業にではネットワークが整備されていますので、インターネットを通して遣り取りして、プレートにすることができます。基本的に全の印刷条件がOKで校正もOKであれば、印刷に入り、製品ができあがり、支払いが行なわれます。支払いは双方の信頼ベースで行われ、場合によっては一部前払い、残りの残高は納入のあとに振り込みをしていただくのが一般的です。
輸出になりましと品質が極めて重要で、従来国内では大して重要視されなかった欠陥でも輸出すると裁判沙汰になることもあります。したがって、包装、梱包を含めてバイヤーの方に納得いただける質の確保が必要です。
ここで印刷物の輸入している国についてお話したいと思います。一番多いのは、アメリカです。印刷市場は1300億ドルといわれています。そのうち30億ドルが輸入です。韓国からの輸入になりましと500万ドルで全体の1.6%に止まっています。主としてアメリカはカナダ、イギリスから輸入しています。とくにカナダは地理的に近いので印刷物の取引が盛んに行われています。アメリカへの韓国からの輸出は主として西海岸向けです。
日本についてはどうでしょうか。700億USドルといわれています。その内輸入量は8億ドルで書籍、新聞、雑誌リーフレット類が主体で書籍、リーフレットが31.7%を占めて最も多い。輸入相手国としてはアメリカ、イギリス、ドイツ、シンガポールが4大国です。韓国からの輸入ということになりますと、全体の1.2%でしかありません。なぜ韓国からの印刷物の移動が少ないかということはハッキリしていません。地理的に近いことや同じ文化圏であることを考えますと、日本はもっと韓国から輸入できると思います。これにつきましたは、相互理解を深めながらやっていきたいと思います。
FAGATのメンバー国の協力ということがキーワードになります。もちろん印刷関係の輸出を一気に短時間で伸ばすことはできません。印刷の品質の向上、グローバルな考え方、貿易使節団の結成、あるいは展示会場の設置などが前提条件になります。このような輸出促進のプロジェクトは決して簡単ではありませんが、時間をかけていけば必ずできます。また印刷のトップマネジメントが印刷の輸出ということにたいしてニーズをよく把握をしていないのが実情です。印刷システムに対する投資もまだ不充分です。とくに遅れているのが世界の印刷市場を相手にした、輸出の専門家に対する教育の投資です。韓国と他の先進諸国とのギャップが埋められない限り、韓国として印刷業界の輸出を伸ばすことはできないと考えております。まず韓国国内の構造改革が必要です。
FAGATのメンバーの皆様の協力を訴えたいと思います。場合によっいはある国のある地域の生産がトラブルで輸出がストップしてしまうことがあります。もしこのようなことがFAGATメンバー国で起きた場合、他のメンバー国にその話を持ちかけるソリューションが残されていると思います。つまり相互の利益のためにいろいろなアイデアや情報を提供しあって、注文を他の国に回したり回してもらったりする操作が必要です。FAGATのメンバー国に輸出のチャンスの情報を提供致します。そのためにはFAGATのメンバー間で十分なコミュニケーションと印刷材料に対する品質水準の理解と標準化が必要です。時に印刷のプロセス、および品質に関する標準化の合意が必要です。将来の印刷の輸出に関しては、FAGATのメンバー間で定期的に情報を出し合って交換をすることが協力の前提となるでしょう。
2003/04/10 00:00:00