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戦力増強は進んでいますか

近年,特にここ数年における印刷業界を取り巻く環境は,まさに「戦国時代…過当競争がもたらす低価格化」と「技術革新時代…ODP,Webなどメディア化,デジタル化.etc」を抱き合わせた変革とスピードに翻弄されそうな様相を呈しています。
このような急激な環境の中を乗り切り,生き残りをかけた戦略こそ経営改革と人材育成が最重要課題であると痛感しております。
戦略を推進する原動力はひとえに人的要因に頼らざるを得ないのも,この業界に限らずいつの時代も同じではありますが,特に昨今は強く感じるとともにこの技術革新の激しい中にあって若い社員の吸収力,応用力と成長性は,単なるOJT教育,訓練だけでは習得できない特異な柔軟性を秘めていることに驚きます。
明確な目標と行動管理,情報の収集策や提案教育など具体的な指導(ワンポイント)を的確に継続的に行うことがポイントであろうと思います。
この2年間での新入社員の成長と即戦力化は,十分期待に応えてくれていると考えます。

(東京飯田橋印刷K・O)


本年の営業の採用も,昨年10月中旬にリクルートナビに募集をUPするところから始めました。内容は会社のありのままの姿を学生にきちんとお話をすることが基本です。実際の仕事を就職希望者に先に伝えることで心理的な効果があります。2月中旬から自社セミナールームにて少人数制(定員20名)での会社説明会を20回開催しました。自社を会場にして,社員の顔を見てもらいます。学生の話では社長が出てきたり社内をここまで学生に見せている会社はないとのこと。
1回の説明会は約2時間30分です。その後は4〜5回の面接や適性検査がありますが,最終の社長面接では即内定を出せるレベルまで学生との接点を深めるのが採用の責務です。
内定式後すぐに各部署にあいさつに回り,営業部では大きな花束を贈呈します。営業内定者のフォローでは工場見学などに加えてマネジメントゲームも行い,内定者同士のコミュニケーションを図るとともに,P/L,B/Sなどを勉強してもらいます。入社すると1年以内にDTPエキスパートも取ってもらいます。
これとは別に生産スタッフ採用の下準備として,デザイン学校などの学生の会社見学バスツアーもときどき行っています。
社長の仕事は社員が仕事をする環境作りであり,新人採用へのこだわりもその一つです。
(東京・水上印刷 水上社長)


昨今の業界における仕事の奪い合いにはむなしいものを感じる。
無理して新規開拓をしたところで,利益は上がらないし,仕事が継続する保証もない。一体日々の努力は何のためなのか?というようなことは,皆が感じているはずなのに,印刷業界は自分たちの世界を大切にしていないのではないかという気がする。
ビジネスは生存競争であるから,しゃにむに頑張らなければならない面は十二分に意識している。しかし社内的に,一部の人がヤル気を出すだけでは,今の状態を変えることはできないのではないかと思う。今行っている努力は,会社を沈没させないためのもので,先に進んでいくための努力にはなっていない点がむなしさにつながっている。
会社の戦力増強のためには,むなしさの伴う仕事の奪い合いとは別に,社員が皆と一緒に仕事をすることに充実感をもって,お互いの組み合わせで大きな力が出るような組織を目指したい。社員一人ひとりに明確な目標を与えるような組織改革が急務であると考える。
(匿名希望)


4月は新入社員を迎える季節ですが,最近の社員を見ているとやはり教育の問題があるように思う。入社してすぐに「クリエイティブな仕事をさせてもらいたい」と言う。個別に見れば自信過剰ということだろうが,人間関係の中で縦のつながりを嫌がるといった傾向を併せて考えると,個性は強調しても社会性や過去を軽視する教育の問題があるように思う。
(中規模印刷会社社長:匿名希望)


大変,厳しい経営環境下ですが,どうしても将来のために,手を打っておかなければならないのは人材の問題です。どれだけ優秀な人材を集められるかが,生き残りをかけた今後10年の大きな課題と認識しています。
人材集めという点では,今年,10名の新入社員を採用しました。当社は正社員70名,パート社員60名です。私はパート社員3名で正社員1名に換算しておりますので,90名規模の会社といっていいでしょう。その中で10名の新入社員を採用するのですから,当然,今期の利益を犠牲にせざるを得ません。先行投資と考えています。
営業男子5名,プリプレス女子5名の採用です。
営業は一人前になるためには時間が掛かります。今から基本を徹底して教育して,半年後には,先輩がマンツーマンで実地教育いたします。3年後には月間600万円の売り上げを上げられるように教育してまいります。
プリプレスの女子社員は即戦力として期待しています。デザインワークについては,ハーフメードデザインのソフトを完成させましたので,ある程度の作業が,短時間の教育でできるでしょう。
さて,人材の問題は,新入社員だけでなく,管理職,中堅社員,さらには役員の実質能力が課題になります。この役員,社員たちの意欲,スキル,人間性,その総和が企業業績となって財務諸表上に表れてくるのだと思います。
中小企業の社員を分類すると,
(1)言わなくともやれる層
(2)言われたらやれる層
(3)言われてもやれない層
に3分類され,2:6:2といわれています。
そうした意味で,今年は人事問題に手を着け,社員能力,貢献度評価を公正にできる制度を作り上げるとともに,一人ひとりの能力を愛情をもって向上させたいと思っています。教育費は掛かりますが,10年先を考えて先行投資していくつもりです。利益を上げられるうちに,できることを積極的にやっておこうと考えています。
(東京・匿名希望)


人材は「人財」というのは多くの会社経営者の共通認識ではないか。少数精鋭などと偉そうなことは言わないが,実際問題として社員全員に戦力になってもらわなくてはならない。そのためには会社としてもバックアップは惜しまない方針だ。
DTPエキスパートの取得を奨励しているのもそのためである。前社長の時代は精神論がやや先行していたきらいがあるが,現在は制度として,長期的な視点で戦力化を進めている。
(匿名希望)

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2003/05/07 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会