■ASIA FORUM
第6回シンガポールFAGAT(2002年)
フィリピン講演レポート
2003年7月3日
●イントロ
フィリピンの印刷業界はグローバルな競争力を確保したいと自由化を促進しております。
長期的には印刷業界は成長を秘めた業界で年間平均して7%の成長で伸びております。しかしながら先進機器への投資が不足していたり、熟練工の育成が遅れていることなどから、非常に過酷な競争にさらされた印刷会社は苦戦をしております。また政府のバックアップもまだまだ不充分です。 ここでご報告をいたします印刷業界とはお断りをしない限り、出版、商業、包装、ラベルなどすべてを含んだものを差しております。 フィリピンの印刷業者は4-5000社といわれております。2001年の国立統計局によりましと出版・印刷関係の企業が4307社、その内の75%が首都圏マニラと13の都市に集中しています。印刷会社の60%が非常に小規模な企業で、35%は50万フィリピン・ペソ(PHP)以下の資本、500万PHPを越える大手の印刷会社は5%しかありません。 フィリピンの印刷市場規模は1億USドルといわれています。 85%がオフセット印刷で残りの15%がレタープレス、フレキソ印刷、グラビア印刷です。85%のオフセット印刷グループのうち、53%は非常に小さい規模の企業で従業員数が30人未満です。35%が中規模で30人以上、残りの12%がいわゆる大機企業で100以上の従業員を抱えています。 具体的な印刷物としましては、1番目として出版印刷として書籍、パンフレット、新聞、定期刊行物、雑誌類。2番目として商業印刷で一般企業向けの、ブロシュア、ポスター、カレンザー、封筒など。3番目に有価証券印刷で、銀行関係印刷物類、国家試験の問題集など。4番目として、オフィス関係の文具類でプリンタ用紙、領収書など、5番目として特殊印刷として、包装、カートン、ボックス、コンティナー、6番目としてソフトウエアの関連サービでスプリプリント、CG、インターネットなどの電子的なサービスを提供する。 業界は4つの分野で構成されています。出版印刷業、商業印刷、包装・ラベル印刷、それと大規模な設備を備えた大手印刷業です。
印刷全体の70%が出版印刷分野で占めています。これに属する印刷会社はコミュニケ−ション用の印刷物、すなわち書籍、新聞、雑誌、定期刊行物を手がけています。この分野は、新聞を除いて外注に出すのが普通です。新聞関係は6%に過ぎません。その理由は大規模な投資になるることから、独占状態が続いています。Manila Bulletin, Philippine Daily Inquirer, Philippine Starがあります。書籍関係は3%に止まっていますが今後かなり伸びる可能性があります。そのためには初期投資がかなり掛かるかもしれませんが、競合範囲が限られていますので、伸びる余地があるでしょう。
商業印刷:
工業用/バッケージ印刷/ラベル印刷:
高度な技術を持った企業:
冒頭にもお話しましたが、印刷は年7%(94-99年)で伸びています。しかしながらデジタル印刷技術が導入され、コンピュータの価格が下がり、周辺機器も整備されました結果、参入が容易になり、印刷業者の数も7%増えております。94年には2、563社でしたが95年には2,755社に増加。このなかで10人以下の小企業が77%を占めています。 競合関係についてお話しします。国内の印刷会社の競争相手は、海外からの参入企業です。 国内企業ではカバーしきれない品質の分野をカバーしています。その結果といたしまして、フィリピンの場合、輸入が輸出を遥かに上回っております。フィリピンがサプライヤーとして最大の国はアメリカです。全体の3分の1ぐらいを占めています。次いで、香港、シンガポール、イギリス、ドイツ、韓国、日本、タイ、フランスなどとなっています。 国内の企業は、雑誌、ブロシュア、楽譜などを手がけています。海外の出版社を競争する力はありません。海外から書籍を提供する場合、大手の書店に直接納入する場合、エイジントを仲介にする場合、書店からの注文で納入する場合の3つかあります。まれではありますが、増刷の権利をあたえれ印刷をする場合もあります。新聞とか雑誌の印刷業界におきましては、国内での競争もありますが、しだいに海外との競争も出てきております。 商業印刷分野ではほとんどが国内向けですが、香港。タイ、マレーシアの商業印刷部門の企業と競合をしています。この分野につきましてはことに品質、価格面で中国、シンガポールが強力な競争相手です。
首都圏マニラを中心に4,307社の企業がひしめいている一方、インターネットなどのサービス会社が伸びています。コンピュータ関係のハードを駆使することで印刷関係のサービスを提供する会社、たとえばプリプレス技術を専門にする会社も出てまいりました。新しい付加価値の模索をしていますが、かなりの企業が価格破壊をよぎなくされているのも事実です。
過去10年間順調に成長をしてきましたが、現在は頭打ちの状態です。製造業に占める印刷業の割合は低く、91年で1.618%、99年になりましても1.36%です。GNPでは91年に0.276%で99年では0.214%でしかなく、国内経済への金額的寄与率はきわめて低いのが現状です。 ●カスタマー(マーケット)について フィリピンには8000の図書館があります。非常にたくさんの印刷物が納められております。また広告の分野も重要な市場です。92-97年の5年間に120%の成長がありました。 ●サプライヤー 主なサプライヤーとしては、紙、インキ、燃料、印刷装置などです。その他に、輸送、電力、郵便、メッセンジャーなどです。 印刷機については、全面的に海外メーカーへ依存度が高く輸入に頼っています。印刷装置は、ドイツ、日本、アメリカ、イギリス、デンマーク、韓国、中国、香港、オーストラリア、シンガポールから主に輸入されます。 機械の内訳ですが、フォトタイプセッティング、オフセット印刷機、レタープレス、フレキソ印刷機、グラビア、製本装置、デジタル印刷機などです。 ●法律環境 R.A.8293という知的財産に関する法律があります。著作権を含め、出版・印刷では考慮する必要があります。 R.A.8047は書籍・出版に関する法律です。この目的は書籍の出版業界の成長を促進する狙いです。質の良い書籍を国内外から提供するのが狙いでした。書籍の企画開発に対して助成金を準備しています。また関税を掛けないで書籍の材料や書籍の輸入ができるものです。 また消費税も免除する、といったこともあります。 R.A.8424というのは、97年の導入されたもので、著作権料やロイヤルティ(印税)を20%から10%に低減するといったものです。 E.O.226というのいは海外の国籍をもつ人を採用するとこの規制緩和措置です。 ●税金に関する規制 書籍に掛かる税は国によってかなりちがいます。スカンジナビア諸国では25%、スイスでは2%の税金が課せられると聞いております。オーストラリア、イギリスでは書籍に税がかかならいようになっています。 書籍の小売業者にかんするものもあります。RMSというものです。また著作権の保護に対する法律もあります。国際的な条約にも加盟しています。 2003/07/03 00:00:00 |