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デジタル時代のトラブルにどう対応していますか

ハード面やシステム面でのトラブルはかなり減った。ところがヒューマンエラーはなかなか減らすのが難しい。最近は基本的なミスが目立つ。最初の原稿ミスだったり,面付けミスなど,かつてはベテランの人が担当してほとんど問題がなかったところにミスが発生している。
工程が短縮し作業の前後をよく理解しなくてはいけないにもかかわらず,知識と経験不足からくるミスが出ている。その上検版を始めいろいろなチェック体制が手薄だったり,優秀な人材が点検のところに配置しにくいことから大きなミスにつながることもある。得意先もチェックしているが言い訳は利かないことが多い。

(某大手印刷会社・中間管理者)


コンピュータを学んできたとか,コンピュータを扱う業務に携わってきた人が,必ずしもデジタルシステムの管理が得意なわけではないことが分かるのに何年も掛かりました。
パソコンが社内に増え出したころは,コンピュータおたく的な人がいると,自分で勉強して自発的に動いてくれるので,大変重宝に思いましたが,そのような人はコンピュータ知識が遅れている社員の教育係にはならず,システムを任せるとほかの人が入っていけないものとなって,後の人が大変困難な目に遭うことがありました。
結局はデジタルの扱いは,経験も年齢も関係なく,理性的で落ち着いた人に管理させるのが最もトラブルが少ない方法でした。要するに管理レベルが高い人がトラブルを防げるようになるのだという,ごく当たり前の結論を得ました。
(大阪・匿名希望)


フォントの問題が繰り返し起こっている。印刷会社である以上,あらゆるデータに対処できなくては話にならないと思うが,正直なところ不正なフォントの面倒をどうしてみなくてはいけないかと思う。
現場では,作業がスムーズに流れることが一番なので,オペレータが変わっても問題なく対処できるように,トラブル事例の共有化を進めている。生産管理部を中心に,原因とその対処法,今後の対応策を徹底的に追及し,当事者間だけでなく,現場にも営業にも周知徹底している。
どんなトラブルも一度目は避けられないとしても,二度目は避けられるはずである。顧客側に原因があるとしても,同じトラブルを同じ顧客に対して二度起こしたらペナルティは避けられない。利幅が小さくなっている中で,事故を起こさないことの重要性を今後とも呼び掛けていくしかないだろう。
(東京・匿名希望)


以前に比べ誤字・脱字チェックのミスやレイアウト校正のミスが多いように思う。かつては図版,本文,写真(ネーム)などをバラバラに出して校正をしていたが,DTPでは最初からデザインして見てもらうので,見た目の完成度にだまされて,けっこう後でミスに気がつくことが意外に多い。行がリフローしたり写真に隠れたりのミスに気がつきにくい。
当社では複雑な図版や表が多くある時は,レイアウトせず,バラ図版・表でよく確認してもらうようにしている。DTP時代の知恵が必要だ。
(A印刷会社)


トラブルの原因はさまざまだが,詰まるところコミュニケーション不足が最大の原因ではないか。入稿ルールなどを細かく決めているが,出力見本がないことさえある。営業は仕事を取ってきさえすれば,現場が何とかしてくれると思っているようだ。
DTPエキスパートは,現場はもっていて当たり前で,営業こそ取るべきだという雰囲気ができてきたので,今後は少しずつ変わっていくだろう。
営業の役割として,顧客のサポート,コンサルティングの重要性は理解されているはずだが,どうしても目先の仕事や数字に気を取られてしまうようだ。
顧客に対する教育の意味もあって,3年ほど前からオープンセミナーを実施し,どのようにして印刷物ができてくるかを実際に見てもらったり,新しい技術や商材を紹介している。
セミナーの企画から集客まで,営業担当が持ち回りでやっているが,視点が少し変わるだけで見えてくるものが違うようだ。
顧客とのコラボレーションを進めることで,トラブルもチャンスに変えていけるだろう。
(匿名希望)


かつての専用機器には,熟練を要したことから,長い経験の中で品質や手法を自然に身に着けたり,自分自身で向き・不向きの判断もできたと思います。ところが現在のDTPシステムは,基本操作という面では立ち上がりが早く,2〜3カ月もすればベテランのようになる人もいます。ハード・ソフトが優秀になればなるほどスキルレスになり立ち上がりは早いのですが,仕事としての適・不適がハッキリしないまま「即戦力」として仕事を始めます。けっこう仕事をこなしていく中で,制作,レイアント,写真処理といった作業が本当に適しているだろうか,と首をひねりたくなる人がいて,驚くこともしばしばあります。ソフトの操作そのものは速いのですが,仕事の内容面での丁寧さ,正確さに欠け,ミスを連発します。それも高度な内容のミスではなく初歩的なミスが大半を占めています。
例えば,地図上に学校の個所が一つ抜けているので,「ここに学校マーク追加」と指示があると,コピーをせずに移動させたり,イラストの上下の関係を逆にしたり,といったことです。結果と操作方法がマッチしていないのですが,一つひとつの操作方法はよく理解しています。本人いわくうっかりミスというのですが,DTP・CTPの世界ではこのようなことが致命的なミスにつながります。アナログ時代でもありそうなミスなのですが,長い工程の中で発見され修正をしていたのかもしれませんが,デジタルの世界では冷や汗ものです。作業後の確認,校正,照合といった基本的な訓練が必要だと痛切に感じている今日このごろです。
(中堅の総合印刷会社)


アナログ時代は製作工程の中で,ミスやトラブルは自然に発見されて,大きな事故にならなかった。デジタル時代のワークフローでは,そういう幸運は期待できなくなった。といって今さら後戻りはできない。
当社は既に品質ISOを取得しているが,マネジメントシステムの考え方をさらに推し進めることでしか,デジタル時代のトラブルには対応できないと考えている。
(匿名希望)


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2003/12/11 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会