メディアビジネスで大もうけという可能性は、今のところないが、それでもユビキタスに向かって進んでいることは、いろいろな現象からみてとれる。日本では元国営キャリアの強大な力が揺るがないように見えるが、世界的には大手キャリアに異変が起きている。
情報家電も最初はTVなどマスメディア対応のものが普及するフェーズであろうが、それが行きわたればデジカメやDVのように個人が情報を記録・加工する段階に移るだろう。音楽もCDのようなパッケージ販売から、曲単位のダウンロード販売にシフトすると既存の音楽流通業界の経済にとってはマイナスである。その先にネットでの音楽配信が定着すればレコード会社を飛び越して音楽発信が出来るようになるだろう。そうすると既存メディアにとっても異変である。
インターネットや携帯電話で個人がネットワークにぶら下がった。今はネットワークから与えられるものを享受する形で「消費」しているが、個人の側からネットワークに関わっていく方向が見え出している。悪い例では出会い系があり、それをいい方向に展開させようとした言葉が「ソーシャルネットワーク」であろう。人の関心事が仮想社会を作りだそうとしている。
blogも爆発的に増加している。このままでいくと個人のホームページはなくなり、blogにとって代わられるかもしれない。XMLベースのblogは関連するblog同士を横に連結した形で運営できるので、仮想社会を構成する一つの要素になる。このようにいろいろな角度からみても、不思議な神の導きのように、デジタルメディアの利用面はある方向に動いている。
メディアビジネスで物事が思いどうりに運ばないのは技術のせいではない。オンラインで売れないのはECの仕掛けがお粗末だからか? お粗末なのは実装や応用面の開発が人にやさしくないからで、インターネットの技術や光ファイバーのせいではない。好意で情報を発信し、情報に好意で応えている人々を対象にしなければ、一時的なビジネスしかできない。
通信&メディア研究会会報 VEHICLE 179号より
2004/03/16 00:00:00