近年,ダイレクトメール(DM)は,顧客関係管理(CRM)によるマーケティング手法への関心の高まりや,新たな郵便サービスの提供により,多様化する顧客ニーズに対し,より効果的にアプローチする方策として一層の注目を集めている。こうしたことから,さまざまな工夫をこらしたDMやサービスを提供する企業が現れている。
JAGATが主催したPAGE2004では,その案内に封筒一体型DM「レスポン君」を採用した。その付加価値の高さについては,本誌3月号でも簡単に触れたが,本稿では,同製品のもたらす付加価値について,株式会社ウイル・コーポレーション社長室係長MS(メーリングソリューション)プロジェクトチームの平戸理英氏,社長室広報担当中村和恵氏にさらに詳細を伺った。
ダイレクトマーケティングのノウハウを凝縮したDM「レスポン君」
同社は,情報・印刷事業部とダイレクトマーケティング事業部を2本の柱としてビジネスを展開している。ダイレクトマーケティング事業部では,顧客とのコミュニケーションに重点を置き,そのコミュニケーションから得られたノウハウを,新たなツールやソリューションの開発に生かしながら提案を行っている。
同社は,傘下にテレマーケティング会社をもち,インバウンドだけではなくアウトバウンドサービスを通じ,顧客に対する個別フォローを行ってきた。このような経験やノウハウから生まれたのが,個別印字による個別メッセージをも可能にした「封筒一体型DM・レスポン君」で,2003年4月には特許も取得した。
私たちの手もとには日々いろいろなDMが届けられている。例えば,請求書と一緒に封入されている「混在型」(一つの封筒にいくつもの情報が封入されているタイプ)がその大半を占めているが,実際には,必要な情報(請求書など)以外の情報は,その場で捨てられることも多い。「レスポン君」には,こうした問題を解決するノウハウが盛り込まれている。
バリアブルプリントに対応
インクジェットによるバリアブルプリントで,宛名印字のみならず,中面にも個人宛の個別メッセージを印字することができる。印字は単色であるが,スミ以外の色も使える。「レスポン君」の封を開いた見開き面(写真1)を「添え状」として活用し,本情報への誘導として利用することも可能であり,まさにパーソナルマーケティングには最適のDMといえる。(▼写真1)
・保存性の向上
一枚の紙に必要な情報が網羅されているため,不要な情報(例えば,請求書以外の封入物)は捨てられてしまうことが少なくなり,発信された情報全体の保存性が向上する。
・多様な企画
封筒型のDMでありながら,B2サイズのチラシとほぼ同じ広さの紙面をもつことから,一覧できる形で情報を掲載(写真2)でき,商品の比較や,より詳しい商品関連情報などの発信には最適である。また,B2の一部の場所(封筒の表側と裏側にならない場所)には,一つのラインで自動的に,縦・横のミシン目を入れることも可能で,割引クーポン付きDMとして多くの大型流通・小売業,ショッピングモールにも利用されている。(▼写真2)
同社通販事業部では,この機能を生かして営業担当者の部署,役職,名前や顔のイラストも印刷し,「この担当者から後日連絡が行きます」と事前告知しておく。このように「レスポン君」とアウトバウンドのコールセンターによるフォローを組み合わせると,さらに高い相乗効果が期待できるとのことである。
・関連情報の付加機能
1枚モノの印刷物であるにもかかわらず,本編情報に関連した付加情報を印刷したチラシと返信用ハガキも同封することができ,これも一つのラインで製作される。
(『プリンターズサークル6月号』より)
2004/06/04 00:00:00