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女性の活用と産休・育休,職場復帰

近年は確かに採用時の試験でも面接でも,並みの男性以上にしっかりした女性はよく見かけるし,実際に仕事をさせても企画・営業・制作面でも男女差はない。むしろ採用時点では女性のほうに軍配が上がる。しかし,わが社でも管理職となると女性は少ない。決して女性が管理職に不向きであるとは思わないのだが,結婚・出産・育児と両立させるのは本人にとっても大変な負担となるのだろう。
パート職を多く採用している会社では,社内に託児所を置いている所もあると聞く。しかし,工場のように就業時間がはっきりしているところならともかく,時間的にもフレキシブルに対応しなければならない仕事ではそうもいかない。通信の利用で何とか在宅勤務のような要素を増やせないものかとも検討したが,DTPならともかく,管理的な業務ではなかなかやりずらい。
いくらか本人の負担が軽い方法を考えると,職住接近が良いように思う。しかし,配偶者の職業のこともあるので,こちらの都合で会社の近くに引っ越してもらうわけにもいかないだろう。むしろ採用時点で職住接近の条件を優先していくことなのかなと思い始めている。

(匿名希望)


やはり女性には向いた仕事というのはある。いろいろな職種の中に細やかさを必要とする仕事がある。そういうところにはむしろ積極的に女性を登用すべきである。そのほうが顧客満足につながる。かつての製版や写植では家庭に持ち込んで仕事をすることはいろいろな困難があった。写植を自宅に持ち込む例はあったが,それはほとんどキーパンチャーのようなものであった。ベテランになったならば,もっと仕事の質の維持に関わってもらわなければならない。
そう考えると,家庭に入る前の年代の時から,単にオペレータとして働いてもらうのではなく,職場であってもSOHOであっても,将来も続けて働くことを前提にした教育訓練が必要になる。今の女性のベテラン社員から仕事の質につながるノウハウを若い人に継承できれば,働く場所にかかわらず,途切れることなく働いて,しかもキャリアが積み重なっていくようにできるのではないかと考える。
(匿名希望)


日経ビジネスで「育児休業制度は会社にとってのコストではなく,必要な人材を確保するための投資である」という記事を読んだが,なるほどと思う。
優秀な人材なら,改めて別な人材を採用・育成するための手間暇とコストを考えれば,実力も分かっているわけだから,復帰してがんばってもらうほうが,確実性が高いだろう。
また,女性に管理職が多い会社ほど業績が良いというデータもあるようだ。中小企業だから現実には制度を利用するのは難しいと考えるのではなく,中小こそ優秀な人材の確保のために,真剣にこの辺の制度をうまく活用できるようにしないといけないのかもしれない。
(匿名希望)


女性や若い人が働きやすい環境でなければ,業界としての将来はない。会社として若返りを図る中で,育児休暇や介護休暇などを取得しやすい体制作りを実践している。
学卒後,最初に就職した会社に一生勤める時代ではないとはいえ,少しでも長く働ける職場環境を用意することは,経営者としての務めでもある。入社時には予期できない,個別の環境変化にも対応できるように多彩なキャリアプランを用意することが重要である。
そうは言っても,生産性向上を第一義的に考えている中で,産休や育休に入られると,有能な女性であればあるほど,現場の困惑は大きい。管理者としては異分子を排除したくなる傾向にあるが,遊びのない組織は発展しないことを忘れてはならないだろう。
短期的な利潤追求だけを考えていると,現在のもうけは確保できても,将来のもうけをつかめなくなる。中小企業はヒトがすべてである。「損して得を取れ」の精神で人材活用に当たっていきたいと思う。
(匿名希望)


バブルの時代には印刷業界が大卒男子を雇用することはなかなか難しく,優秀な人材で残っているのは女子だけという局面もあったようです。最近では当社のような中小企業の会社説明会にも,有名大学卒の男子学生が押し寄せるようになりました。しかし,採用試験の結果だけで判断すると,優秀者は女子ばかりという結果になります。部門によっては男子配属を希望してくる場合もありますが,幸いこの間に当社でも女性社員を活用するノウハウが蓄積されて,あまり女性を特別視することはなくなりました。
女性の印刷営業が珍しがられた時代もありましたが,今では男女関係なく新規開拓や接待も任せられるようになりました。ちなみに当社ではビジネスネームとして,結婚後も旧姓の使用を奨励しています。名刺や名札を作り直す必要がないだけでなく,客先で私生活をせんさくされるという弊害もなくなりました。
(匿名希望)


少子高齢化社会にあっては,女性の活用と育児支援は国家的な要請でもある。「女性に優しい企業」などというおためごかしで,個別の企業に対応を任せるのではなく,社会システムとして確立する必要があるだろう。
セクハラの問題もそうだと思うが,個別企業の努力や教育にゆだねるのではなく,制度を整備するほうが確実な上に導入しやすい。その場合,罰則規定とともに,企業に対する優遇措置があってもいいのではないか。
(匿名希望)


実は当社では10年ほど前までは女性と男性では違う賃金テーブルがありました。職種の違いによるものと説明されていましたが,実状は男女差別でした。女性は男性に比べて勤続年数も短く,残業などの負担も少ないのだから,特に問題はないと考えていましたが,女性職員から,「どうせ長く勤めないと思われていて,長く勤める気がしますか?」と問い掛けられて,ハッとしました。さらに定着率を見ると,若年層では女性より男性のほうが低いという現実がありました。
3年以内に格差を是正することを約束して,実際には前倒しで実現しました。その背景には人材難もありましたが,旧態依然とした役割分担の考え方が通用しなくなっているという認識もありました。
現在のわが社を見ると,女性社員も増え,活躍の場も用意されています。まだ管理職には女性はいませんが,勤続年数も伸び,生え抜きの女性の中から管理職が生まれるのも近いことでしょう。
(匿名希望)


皇太子の「雅子のキャリアや人格を否定されるような動きがあった」という記者会見を見て考えさせられた。お妃候補時代にレポーターに向かって「関係ありません」とはっきり答えていた,あのロングコートを翻したショートカットの雅子さんは本当にかっこよかった。皇室ルックに身を包み,あいまいな微笑を浮かべている姿よりずっとすてきだった。これ以上望むべきもない学歴と外交官としてのキャリアをもつ,あんな強いきっぱりした女性が精神的に追い込まれてしまう。ある意味,日本の環境の象徴ではないかと。
出産後の記者会見での雅子妃の喜びようの痛々しさは,女は子どもを産んでこそ一人前という価値観の押し付けがいかにひどいかを極端な形で表したものだと思う。同世代の女性として,「降りる」という選択肢がない立場に同情せずにはいられない。
「女性の活用」というテーマは,印刷業界の現状とあまりにほど遠い。その上,わざわざ「産休・育休,職場復帰」としていることに,性別役割分担の強化を感じざるを得ない。
(匿名希望)

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2004/06/07 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会