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グローバル化とフィリピンの印刷産業(概要)

■ASIA FORUM
第7回マレーシアFAGAT(2004年)
フィリピン講演レポート

2004年10月1日

Mr. Romeo G. de la Cruz / Philippine Printing Technical Foundation 理事

●現状の問題

今の印刷業界の経営リーダーには変化に対応した機敏な動きが必要。将来ビジョンが成功の最大の要因である。しかし印刷業界の80%を占める20名以下の小規模企業では、変化に対応しようとしても、新しい技術を導入する資金が不足している。

フィリピンの印刷業者は、顧客の品質に対する要望に的確に対応してこなかった。品質の良い印刷物を作るためには、香港や台湾といった海外に発注しなければならないが、費用がかかりすぎるので、結局、地元の印刷業者に頼まざるを得ないという顧客の足元を見た商売をしてきたからである。しかし、グローバル化の中で、マレーシアや中国といった海外の印刷業者が安価で品質の良い印刷物を提供するようになって、やっと今までの問題に気がついた。実際に、新しい技術を導入した国内の業者や合い外の印刷業者に仕事を奪われ始めている。

●体質改善ができない企業が多い

  印刷ビジネスの競争は、品質とスピードを前提として価格競争の世界になってきた。このような市場ニーズに対応するためには新しい技術の導入が不可欠だが、多くの企業はそのような警告が発せられたいたにもかかわらず聞き入れる企業が少なく、結果としてそのような業者は、新たな技術導入の力を失いつつある。

●これからは経営戦略の明確化と技術の集中である。

例えば大手の教科書出版企業は同社のタイプセッティング部門を廃止し、外務のサービスビューローに仕事を発注するようにして生き残りに成功しただけではなく、利益率を向上させた。別のつぶれかけていた印刷会社は、プリプレスと印刷設備を売却し、製本加工だけに特化して業績を回復した。また、印刷機と後加工機を売却してプリプレスとコーヒーテーブルブックの出版だけに絞り込んで、業績を立て直した会社もある。 もうひとつの生き残の方策は、無駄な競争は止めて業者同士が協調路線を確立することである。いままでは、他社に仕事をとられるのを恐れて各社共に無駄な設備でも導入してきたが、これからは各社が専門特化していくことでダウンサイジングをしていくことで、特化した専門分野に投資を集中するようにすることが必要である。

2004/09/10 00:00:00