本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

印刷工程における各デバイスの色再現を理解する

 人間が眼で見る色や階調を,そのまま写真に記録したり,印刷を含め各デバイスに出力することは不可能である。
 銀塩カメラやデジタルカメラの場合でも,光の受光可能な範囲であるダイナミックレンジが限られているため,その範囲内でやりくりして絵を作っている。
 その限られた範囲での色の再現方法にも,さまざまな手法が存在しそれぞれ独自の色の再現域があり指標がある。それが色空間(カラースペース)と呼ばれるものである。

 例えば,デジタルカメラで撮影し,モニタ上でPhotoshopを用いて表示させ,プリンタに出力し,DTPデータとして印刷会社に入稿する等,画像データを活用しようとすればするほど,色の情報を正確に伝えることが困難になる。
 つまり,デジタルカメラで撮った写真の色のイメージが,各作業工程を経るに従い変わってしまうという問題が発生する。
 これは,色を表現するための基準となる色空間(カラースペース)のなかで,個々の機器の色再現領域であるガモットの違いも大きく影響しているのである。

 これらの問題を解決するためのシステムが,カラーマネジメントであるが,その基本となるものが,色空間(カラースペース)やガモットにおける色の数値化による表現である。
 色を定量的に数値にして表現することを表色系(ものさし,単位系)などと呼び,数多くの手法が存在する。印刷業界では,もちろんCMYK(%)であり,インキの網点の大きさ,その掛け合わせで色を伝え管理している。またモニタ表示に使用されるRGBのビット数がある。
 したがって,カラーマネジメントの運用では,異なるデバイス間でのやり取り,比較,整合性を取るため機器に依存するCMYK,RGB等のデバイスディペンデントカラーでは不具合があり,機器に依存しない共通の表色系,すなわちデバイスインディペンドントカラーが必要になる。

 国際照明委員会(CIE)で,1931年にXYZ(Yxy)表色系が,1976年にL*a*b*表色系が制定され,これらの表色系を使ってカラーマネジメントが行われている。
 カラーマネジメントでは,色彩計や分光光度計などによって,CMYKの色濃度や網点を測定し,カラーマッチングなどが行われる。
 一般には,色差,明度をよりわかりやすくしたL*a*b*が印刷業界を始め,広く産業界で使用されている。

 そもそも色管理とは,ユーザが熟知して使いこなすものではなく,ユーザは何も意識することなく,自動的に行われるべきシステムなのが理想である。しかし,現状ではまだ色管理システムが不完全であるために,とくに製版・印刷業務の技術者は基本的な色の知識を持って管理しなければならない。

■関連セミナー 「画像データの色再現と標準化動向」

2004/09/27 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会