印刷物の海外生産・海外調達は,納期や品質,輸送コストの面からも,また日本語を扱うことが多いことからも,それほど普及する様相はみせていない。しかし,日本語DTP制作を中国でおこなう例も登場してきた。
(株)デジタルプレスは,月刊誌「プロフェショナルDTP」等の企画・編集をおこなっているが,以前より内部でDTP制作業務をおこなっていた。2002年より,制作コスト低減のために上海にオフィスを設立し,月刊誌の制作業務を移管した。上海では,原稿であるデジタル素材をネットワーク上で取り出し,テンプレートに流し込んでレイアウトを完成させる。ネットワーク越しに校正・訂正を終えデータが完成すると,日本で印刷・製本をおこなっている。現在では,自社の雑誌・書籍の制作業務の他にも,他社から受注したパンフレット・カタログの制作もおこなっているという。
(株)アビーロードは,従来から雑誌・書籍を中心にDTP制作業務をおこなっていた。本社は東京であるが,以前から札幌市に遠隔オフィスを設立し,制作業務の一部をおこなっていた。2003年には,中国蘇州市に新会社を設立した。主な業務は日本からデータ送受信しながらのDTP制作である。また,徐々に日本の出版社が現地で発行する情報誌などの業務もおこなっているという。
本ミーティングでは,2社に進出の経緯や現状,またシステム環境や現地スタッフの教育方法などをお聞きし,日本語DTP制作のグローバル化について考察する。
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