本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

循環型メディアビジネスに向けて

従来の印刷の仕事は印刷物を納品すると一区切りで、あとは代金をいただくだけと考えがちであったが、印刷物の発注者にとってはそこからが仕事で、印刷物を使って何らかの目的を達成することが最も大事である。つまり印刷会社が印刷物企画や提案をするとはいっても、納品してオワリという態度ならば発注者とは立場がずれたままの関係であり、発注者の立場でいっしょに仕事をしている者とはみなされない。納品された印刷物はどのように使われているのか、どんな効果を上げているのかを知らない人が、印刷物の提案をしていても、発注者を理解した上での企画にはならないからだ。

発注者のミッションを理解し、ともにメディア制作のビジネスをするには、印刷物を使う業務について、どのように Plan - Do - Check - Action がなされているのかを捉えていなければならないし、そのサイクルにあわせた制作体制、つまりワークフローや、意思決定とか校正がリアルタイムにできるグループウェアを持たなければならない。従来はこのようなことは顧客サイトに作業員を送り込むような方法でしか成立しなかったが、情報のデータベース化やネットワーク化によって、離れた会社間・作業場所間でもひとつの「Plan - Do - Check - Action」管理のもとでコントロールできるようになりつつある。

つまりメディアの世界は音楽、放送〜映画に至るまで、制作はデジタルになり、デジタルで保管され、配信されるように動いている。新たなコンテンツをデジタルで作るだけではなく、デジタルで作られたコンテンツを蓄積して再利用することが増えていき、あと何年かすると、新規に作成されるコンテンツよりも再利用されるコンテンツの方が多くなるともいわれている。そのコンテンツの多目的な再利用は日本語ワープロの登場以来、OA文書の世界で先行して起こってきたことで、それが印刷を含むデジタルコンテンツの世界で起ころうとしている。

メディアの制作という仕事から見ると、コンテンツマネジメントのような情報循環の仕組みが次第に構築されていって、情報再生産の効率は高まり、循環の速度は速まっていくことになる。つまりメディア制作ビジネスの競争力のなかで情報再生産能力が大きな鍵になることは、すでにデータベース、XML、バリアブル印刷の可能性として常時論じられている。ただこれらの技術が単独で何かよいことを実現してくれるのではなく、それらのうまい組み合わせで、発注者の Plan - Do - Check - Action とかみあったメディアシステムが構築できれば、顧客の業務に貢献できることになる。

2005年2月2日(水)〜2月4日(金)・3日間のPAGE2005コンファレンスは,DMビジネスショー・ポスタルフォーラム2005と同時開催で,印刷からWEBまでの各種メディア制作の2〜3年後のビジョンを考えるために、グラフィックス,クロスメディア,MISの大きく3つのトラックを設け,その中の各セッションでは,先進的な取り組みをしているところに広く呼びかけて,オープンな形での運営を予定している。

Call for speaker

急速に進行するIT化,EC化のなか,日本の産業構造が大きく変革していく時代にあって,過去のビジネスモデルが通用しなくなり,それぞれの事業プランは以前にも増して緻密なシナリオ化が必要になっている。しかし個々の企業の判断・理解が可能な領域は限られているので,お互いのビジョンや試行錯誤の経験を有効に交流させて,今後3〜5年後のビジョンを強化するための話し合いをしようというのがPAGEコンファレンスの開催主旨であり,グラフィクアーツ業界の将来を左右するトピックスを濃縮した各トラックのプログラムは,関係の経営者・管理者にとって最も重要なものとなることを目的としている。

各トラックの主旨のように,近未来のビジョンをもって上記に関する取り組みをされていて,PAGE2005において30分ほどのプレゼンテーションが可能な方は2004年11月10日頃までに,各トラックリーダ宛に,発表できるテーマについて簡単な内容をお書きの上,eメールにてお送りください。追って当方から,連絡を申し上げます。
ご応募いただいた方には,PAGE2005基調講演にご招待をいたします。また各トラックのセッションで発表いただくことが決まったスピーカーの方には,PAGE2005コンファレンス全セッションに参加できるフリーパス(94,000円相当)を差し上げます。

グラフィックス・トラック

DTPはデジタル化したとはいっても、ネットワークという点では離れ小島のようなもので、前後工程とは人的なつながりでしごとをしていたが、前後工程とコンピュータtoコンピュータでつながったシステムが組める方向にある。
オープン化,データの再利用,システムの柔軟性,最適化などの要素を用いて顧客の問題解決を図り,サービスの価値を高めるチャレンジが行われている。
PAGE2005コンファレンスのグラフィックス・トラックでは,ITを使った価値的な生産性への展開を大きなテーマとして取り上げたい。このトラックは次のようなキーワードをベースにセッションを行う。これらの範疇の中で,2〜3年先をターゲットに活動を始めている方々は,それぞれの試みをPAGE2005コンファレンスで発表していただきたい。

グラフィックス・トラックリーダー 

●自動レイアウト
組版エンジン,プラグイン,メタデータ
●オンラインパブリッシング
ASP印刷サービス,ワークフロー,コラボレーション
●カラー
カラー再現性,色管理,標準化動向
●デジタルカメラ
新技術,標準化,次期目標
●デジタル印刷
バリアブルプリント,パーソナライズ,ブックオンデマンド
●XML Publishing
XMLツール,XML関連ミドルウェア,クロスメディアシステム
●文字コード
ユニコード,標準化,フォント,外字

クロスメディア・トラック

メディアの大きな役割として、ネット購買に関する、販促から、トランザクション、サポートなどがあり、この分野では紙メディアやWEBなどを単独で制作することの方が例外になりつつある。主たる収益が印刷から出るのであっても土台はクロスメディア対応に作り変えなければならない。それにともないマーケティングの方法も販売促進ツールも、携帯・ユビキタスという視点で組み替えられようとしている。メディアとECのかかわりは今どうなっているのか、さらに用途が広がるブログ、eラーニングといった分野の動きにも急なものがある。
PAGE2005クロスメディア・トラックでは次のようなキーワードをベースにセッションを行う。これらの範疇の中で,2〜3年先をターゲットに活動を始めている方々は,ぜひ参画していただきたいと同時に,それぞれの試みをPAGE2005コンファレンスで発表していただきたい。

クロスメディア・トラックリーダー 

●Internet Publishing
動画活用、ユーザビリティ、制作管理
●EC、クロスメディアマーケティング
WEB広告,ユーザサポート,コミュニティ
●電子カタログ,電子マニュアル、電子書籍
システム,運営,コンテンツ
●eラーニング
コンテンツ制作,運営管理
●コンテンツ管理
メタデータ,DAM,標準化、アーカイブ(美術品,地域文化・情報,ビジネスドキュメント)
●ユビキタス
携帯電話応用、QRコード、ICタグ

MISトラック

生産設備のコンピュータ管理がJDFで行われるようになるには,事務処理のIT化や経営管理のIT化などが伴わねばならない。そのためにSCM(サプライチェーン)だけでなく,企業全体としてデジタルインフラの見直し,セキュリティを考慮した運用の確立が急がれている。
ITを断片的なテーマとしてではなく,MISのトータルな戦略のもとに組み立て上げて,印刷業界は社外との連携を含む全体最適化を成し遂げるために必要な環境整備が始まっている。
IT化したコラボレーションとその前提としての管理の整備はまだ始まったばかりだから,その全体像を把握するために,将来ビジョン・基本コンセプト,現状,今後の課題を話しあいたい。
MISトラックでは次のようなキーワードをベースにセッションを行うので,2〜3年先をターゲットに活動を始めている方々は,ぜひそれぞれの試みをPAGE2005コンファレンスで発表していただきたい。

MISトラックリーダー 

●JDF開発
規格開発、ツール開発、検証
●生産システムの連携
MISと生産システムの連携,JDFをベースとしたアプリケーション
●オープンシステムへの対応
インフラ対応、企業間情報交換,IT戦略
●CIM、JDFへのユーザの取り組み
CIMのビジョン、ロードマップ
●マネジメント・インフォメーション・システム(MIS)
印刷業界における経営管理,経営意思決定ツール
●JDFワークフロー
モデル化、課題

クロスメディアZONE

PAGEはプリプレス技術の展示とともに,ITソリューションパートナーシップコーナーを設けて,バリューチェーン上のビジネス展開が促進されるように,グラフィックスの隣接分野の方々にも出展を呼びかけてきました。従来も、XML Publishing,MIS/JDF,先端プリンティング,などテーマごとにまとめるたことで,来場者にはわかり易いとご好評をいただきました。
PAGE2005ではこれらの内容にさらに加えて,一般企業の情報管理・情報伝達部門と制作会社が協同でこれからのシステムを、クロスメディアのシステムと、ツール類と、サービスの3つの側面から総合的に検討できるように、クロスメディアZONEを拡充いたします。デジタルメディアをプロデュースする企業や、コンテンツホルダーの方々にも、今後の指針となるものを目指していますので、以下の分野に該当商品がある方々は、ぜひ出展のご検討のほどをお願い申し上げます。
>>PAGE2005 クロスメディアZONE出展概要
クロスメディアZONE・企画担当 JAGAT研究調査部

●クロスメディアシステム
SI、コンサルティング、データベース、コンテンツマネージメント、サーバ・ネットワーク
●クロスメディア制作・管理ツール
XMLツール、デジタルイメージング、ICタグソリューション、グループウェア、eラーニング
電子カタログ、セキュリティ、ストレージ、電子透かし、2次元コード
●クロスメディアサービス
コンテンツ配信、ECプラットフォーム、制作サービス、マーケティング


【クロスメディアZONEの説明会を10/27に開催!】
●日時:10月27日(水)
●場所:社団法人日本印刷技術協会
●内容:JAGAT常務理事小笠原がクロスメディアビジネスの展望とあわせてクロスメディアZONEのご説明をいたします。
 詳細→ PAGE2005 クロスメディアZONE説明会のご案内

参考:前回のPAGE2004は ここ

スピーカーの募集は締め切りました。たくさんのご応募ありがとうございました。

2004/10/18 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会