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営業ツールの工夫

基本戦略として,顧客への支援をトリガーにして,新規開拓・受注拡大です。
過去にはツールとして,
1. DTPエキスパート資格を習得し,顧客のDTPを支援し,受注。
2. 旅行業務取扱主任者の国家資格を習得し,旅行会社から受注。
3. 画像処理の国家資格を習得し,画像加工で受注。
しかし,現在では,もっと大掛かりな仕掛けやツールが必要です。
戦術として下記のツールを利用したり競合したりしています。
1. サステナビリティ(持続可能性)レポートや環境報告書のフォーマットとノウハウで,環境問題からアタック。
2. 関連NPOを運用し,NPOと協働,もしくはヤドカリ戦術で受注。
3. 品質ISO・環境ISOの審査員資格を習得し,ISO支援からアタック。
4. 貿易業務ノウハウや貿易業コードを習得し,中国など販路拡大支援から受注拡大。
5. 経済産業省アドミニストレータ資格やネットノウハウで,eビジネスを支援し受注拡大。
6. 情報セキュリティマネジメントシステム審査員資格を習得し,個人情報保護法対策を支援しアタック。
「仕事ください」や提案だけでは開拓は困難で,顧客の問題を解決するツール,いや道具ではなく武器での反復アタックが常とう手段です。

(元営業課長,現在某NPOで営業担当)


得意先に対する提案やアドバイスはいろいろ試みてきたが,デザイン要素の強いもの,業務改善的なソリューション,トレンディな内容や,ITに絡んだものなどは,いくら優れた営業マンでも得意不得意がそれぞれあって,なかなか担当している得意先にぴったりな提案をできないできた。その営業マンが得意でもない通り一遍の提案では刈り取りが難しいので,いくらかの成功例はあるにせよ,トータルで考えると実際には提案のネタ集めから,デモやプレゼンのための社内研修に掛かった時間に見合ったものとはならなかったと思う。
そのような歩留まりの悪いダボハゼ的な提案営業はやめて,どの営業マンにも必須の内容を確実に覚えてもらうための,底上げ的な営業教育とキット作りに切り替えつつある。つまり印刷物サンプルや用紙の見本でも,どのような形でそろえたら今日的にスマートか,これから利用が増えそうな素材は何か,そこに印刷・加工する時の注意点は何か,などについてかなり詳しく,かつこまめに情報を整理して,全員分のキットを用意していく。
これらだけで新規な需要を掘り起こせるものではないが,営業マンの教育用と同レベルのキットは,営業マンも得意先に説明しやすいので,自然と得意先で話をする機会が多くなる。これは得意先に対して関係を良くすることにつながる。営業マンの態度が変わることと,会社の姿勢としてこまめであることが伝わっていくからだ。
このような,自社営業マンと得意先を同時に教えるツールの先には,こういった情報をWeb化して,社内の人も外注先も,得意先も共通の認識をもてるようなものを構築していきたい。
(匿名希望)


これからの営業の武器はデータベースだと考えている。コンピュータで扱うデータはすべてデータベースで管理する,そこに情報を取りにいけば必要とする情報が得られるというようにしていきたい。
受注伝票をXMLで記述して工務に渡せばJDFワークフローの始点になる。その情報にアクセスすれば売上管理となり,生産ラインと結び付けば受注した印刷物の進捗状況がリアルタイムで把握できるようになる。資材管理,在庫管理,経営管理などどの局面でもデータベースに問い合わせれば必要とする解が得られるようになるだろう。
デジタル制作された印刷物の内容は,原稿としての出自から作業履歴,更新履歴などの情報とともに蓄えておく。お客様が印刷物を作る目的に合わせた検索を行うと,関連する内容が抽出され,印刷物の紙面に自動的にレイアウトされていく。
お客様の顧客情報をデータマイニングする,お客様の市場の競合状況を分析する。それらと印刷物の制作,納品の方法・タイミングを最適化する。
受注した印刷物を生産して納めるだけでは,価格競争から逃れることはできない。印刷価格の下落が止まることはない。生産力増強への道は,業界の淘汰を進めていくことになる。
お客様の収益に貢献できる印刷物およびサービスを提供できるようにならなければ成長は望めない。それらを実現するキーとなるテクノロジーがデータベースである。
データベースはあらゆるビジネスのインフラであると認識し,このくらいのレベルのことができなければ勝ち残る競争力にならないと考えている。
(匿名希望)


私が入社したころは,倍数尺,ルーペ,線数ゲージ,色見本帳,写植級数表等々,いろいろな営業グッズが存在したが,今はほとんどなくなってしまった。携帯電話があれば足りるということだろうか。
その前は営業マンにノートパソコンをもたせて,そこに営業ソフトを入れようと考えていたこともあった。しかしソフトはいつ完成するとも分からず,そのくせ陳腐化が速いので,ツールの主役にはなれなかった。むしろ自社のWebサイトに載せてあるクライアント向けの印刷知識が好評のようだ。これは社員教育も兼ねたものなので,一石二鳥である。
印刷営業ツールには印刷物そのものが重要であることは昔も今も変わりはないが,その印刷サンプルの特徴を営業マンが理解するのに時間が掛かるようになったのが今日の特徴だろう。後加工もバリアブル印刷も,モノ自体が語る要素よりも,能書きを表現できることが大変で,その面でも知識の共有化をするツールが大切になった。
(匿名希望)


出版社を主要顧客とする当社では,編集制作などのノウハウを獲得するために,出版社出身のスタッフを採用し,出版社が今まで外注していた誌面デザイン,取材,執筆,撮影などを一括受注できる体制を整えました。その成果として,趣味に関するムックを2冊制作し,出版コードも取得して書店で販売するようになりました。
もちろん出版事業による収益が目的ではなく,顧客である出版社のニーズを把握することが最大の目的です。さらに,営業担当にとっては,当社の企画力を示す格好のツールになっています。
(東京・出版印刷)


当社は流通関係のチラシが主力だが,商品点数が多く,差し替えの多い仕事が大半を占め,小ロットで常に短納期を求められているが,営業担当者がとにかく顧客を最優先していることが,効を奏している。顧客が休みでない限り,営業担当者にも休みはない。顧客からの電話に24時間対応できるように,携帯電話は常にオンにしている。休みの日ももちろん常時連絡できるようにオンにしている。
クレーム対応という意味でも顧客とのコミュニケーションを密にしていることで,大きな事故の発生は未然に防げている。また,校正などは営業担当者を介さないでオペレータが顧客に電話連絡して確認することもある。顧客を中心に考えて,顧客に迷惑が掛からない形で臨機応変に対応することが重要だと思う。
営業ツールとして他社に際立つものがあるわけではないが,「顧客満足の向上」を常に目指している姿勢はどこにも負けない。具体的なツールは営業担当者が自作することを勧めている。特に新規開拓に関しては,社内で勉強会やプレゼンをして,ノウハウの蓄積も図っている。今後さらなる飛躍を期待している。
(東京・匿名希望)


「社員全員営業マン」が当社の基本姿勢だ。だからあらゆるツールは営業ツールでもある。顧客の問い合わせに対しては,営業担当がどこにいようとも10分以内に折り返し電話をすることを鉄則としている。サービス業としての基本に立ち返ることを心掛けている。
(匿名希望)



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2004/12/06 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会