Web、映像、印刷という、それぞれ別個と思われていた業界領域がどんどん融合をはじめている。特に映像、印刷は歴史のある業界でそれらが直接交わることはなかったが、Web、ブロードバンドが介在することによって「横断路」が生まれたのである。
これまでは印刷業であれば不可価値ビジネスとしてWeb制作、コンテンツの加工制作を行なうなど、既存の業界に立脚しながらこの融合領域にビジネスを求めて動いていた。
しかし地殻変動は確実に起こっており、これまで別個の陸地であったそれぞれの業界が、いやおうなく一つの大きな大陸となろうとしている。そこで生み出されるビジネスは、Web、映像、印刷それぞれの特性と技術を理解した上でないときちんと立ちあがらなくなる。
しかしその一方で、それらのビジネスを創出するプロデューサー人材が圧倒的に不足している現状は、これまでもJAGATの通信&メディア研究会のミーティングなどを通して報告してきた。そこでは、Web、映像、印刷それぞれのスキルを身に付けることで大きなビジネスチャンスが広がるという話もあった。
要するに印刷業界をはじめとするこれら業界は、それぞれの分野で技術、ノウハウを持ち、新規参入者と比べて大きなアドバンテージを持っているということである。しかしそのアドバンテージを活かすには、欠けている技術、ノウハウを積極的に身に付けると同時に、ビジネスの立脚点が印刷でも映像でもWebでもなく、それらの融合領域に移っていることを理解する必要がある。
そして、ビジネスの上流部分で起こっていること、起そうと企画されていることをより早くより的確に掴んでおかないと、生活の中へのブロードバンドの浸透をはじめとしてインフラの整備に関してはほぼ見通しがついてきた現在、一旦うねりが沸き起こると待ったなしで「新しい波」が押し寄せてくることとなる。
紙、映像はそれぞれ違う業界の違う会社が個々独自にビジネスを行なうのではなく、一つの大きなコンテンツビジネスの中で、戦略的に役割分担しながらビジネスを支えていく形になるのではないか。しかしそのより具体的で、リアルな姿を掴むためには、数少ない「ビジネスを創出するプロデューサー」の考えを直接聞き取ることが最短の途である。
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2月2日開催のPAGE2005基調講演では、「B2 コンテンツの蓄積が生み出すビジネスチャンス」と題して日本を代表する3人のプロデューサーが、コンテンツを基点にこのWebと映像と印刷の融合領域でのビジネスの具体象を探るディスカッションを行なう。
河井信哉氏は『リング』『らせん』『love letter』等の日本を代表する映画プロデューサー。古株均氏は現在、多くの官民のプロジェクトのプロデュースを行なっている。そして藤井雅俊氏はライセンス、ファイナンスのスペシャリストでもある。
■デジタルコンテンツの蓄積が生み出すビジネスチャンス【B2】基調講演・ビジネス 16:00-18:00
・モデレータ=藤井雅俊氏(メディアラグ代表取締役)
・スピーカー=河井信哉氏(アミューズ エグゼクティブプロデューサー)/古株均氏(Jストリーム取締役副社長)
今回は、より生の考えをお聞かせすべく、ディスカッションの時間を多く取り、
1映像制作の現場から見たデジタルビジネスの可能性
2映像配信ビジネス、デジタル技術の現場からみた可能性
3既存インフラ・流通とデジタルコンテンツ流通[紙とWebと放送]
4コンテンツの権利とデジタルライセンスビジネスの可能性
5具体的なビジネスアライアンスの可能性
について討議していく。
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「プロデューサーの観点からデジタルコンテンツ・ビジネスの最前線を概括する」(通信&メディア研究会・拡大ミーティングより)
2005/01/22 00:00:00