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企業にとってブログはどういう影響を持つか

PAGE2005クロスメディアトラック「用途が拡がるBlog」では,組織にとってブログとはどういう付加価値をもたらすかをメインテーマとして取り上げた。
なぜブログをテーマにしたかというと,Webサイトはコミュニケーションチャネルになっており,ブログサイトは企業にとってその代表的なものとなるとされているからである。
本セッションでは,インプレスホールディングスの田村明史氏,シックス・アパートの平田大治氏,日本総合研究所の仙波修氏,ベイテックシステムズ・ニューズウォッチの渡辺聡氏を迎え,ビジネスにおけるブログ活用の実態と今後の可能性を探った。


ブログ成長の背景はいくつかあるが,社会的な情勢の変化としてWebが浸透し,ホームページがあるだけでは不十分になってきたことが上げられる。
企業においては,終身雇用が崩壊し自分自身の価値をアピールしないと次のステージに上がることができず,給料が下がるという状況である。自分の価値をどうやってネット上でアピールしていくかというときに,自分を表現するためのツールとしてブログが注目されるようになった。
ブログの出現は,Webの活用を大きく広げたという点でインパクトをもたらした。以前,情報を発信することはコストが高かったが,それが下がったことで個人による情報発信が可能になり,個人サイトの影響力が増大した。

社内の情報共有ツールとして採用した日本総合研究所がブログを取り上げた理由としているのは,〔1〕記事生成がトピック指向であり,社内の記事作成の方向性とあっていた 〔2〕ブログの持つCMS(コンテンツ管理システム)は採用前から注目していた 〔3〕ひとつのコンテンツはいろいろなカテゴリーにも当てはまるということから,トラックバックによる情報同士の繋がりを持って体系的に蓄積できるということである。
将来的には,ECM(Enterprise Contents Management)への移行を想定しており,流行のツールを採用することでスモールスタートとして試す場にはよかった。
製造業と違って,日本総研の場合は組織がフラットで自由なので個々人がアピールしていかないと仕事が廻ってこないという状況がある。個々人が自分をアピールするツールとしてブログは格好だった。

インターネット上でのブログの位置付けについて見てみると,たとえばあるニュースが登場するとコミュニティではその話題で盛り上がる。そしてニュースや関連情報のリンクやトラックバックでさらに拡がる。その後,拡がりは落ち着くが細々と議論は続くことになる。このようにブログは,コミュニティ内での情報の拡散と精選,詳細な議論をこなす場=ニッチに強いメディアとして機能していると言える。
さらにコメント,トラックバックなどで相互反応が容易に実現できることから,ブログはWebの特性である双方向性を備えたお互いを深めるメディアであり,知人友人,コミュニティの声に直接触れながら拡がっていくことから,口コミと伝播が成立しやすい特性がある。
こういった特性・効果に注目され,広告においては新しいプロモーションチャネルとしていろいろな企業で採用されている。

2005/02/12 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会