オンデマンド印刷や文書システムの展示会をしている団体であるXplorが1999年に行った調査によると、インターネットで印刷が増えると考えるユーザ及びサービス提供者は38%で、減ると考えるところが同じく38%、印刷とインターネットは関係ないと考えるのが24%であった。これだけインターネットが使われるようになっても、見方がまとまらないのはどいうことだろうか?
さらに、31%の人が、印刷(プリントも含めて)は必要悪であり、出力に関する投資は最小限に留めたいと答えている。またこのアンケート対象は主にビジネス用と思われるが、カラーでのプリントは増えており、65%が色付きプリントを、55%がフルカラーのプリントを手がけるようになっている。総じて社内利用のものは印刷からプリントへの移行がさらに進むようだ。
しかし最も大きな変化は、印刷ではなく郵便やDMで起こると3分の2の人が考えている。この分野はEC(e-commerce)の進展とともに社内処理に切り替わっていくようだ。しかしDMあるいはDMに代わる物をアウトソーシングするとか、受託するというビジネスが起こると考える人も多い。これに関しては部分的なことでなくフルサービスであることと、ユーザはその会社の重要なことに集中するためにアウトソースを使うというのが一般的なようだ。
また印刷/プリントへの投資は最小限にして、今後5年で何に投資をするのかというと、ECというのが利用者もサービス提供者も共通しており、続いて通信インフラ、知識管理、コンピュータ..となっている。以上でだいたいのシナリオは読めると思う。突然印刷物とDMにECが取って代わったりはしない。
つまり売上を落としてまで新技術に入れ込む人は居ない。まず従来の印刷の無駄を排除して、その分はECに金が流れるのである。しかしECは奥が深い。単にDMのデジタル化をすればいいのではなく、通信コンピュータのインフラや知識管理を背後に整えないと効果が出ない、長丁場の変革である。しかもECが効果を現すのはいつのことか、よく読めないからこそ、「印刷は必要悪」といわれるのだろう。
だから結論を急いではならない。むしろ多くの企業が印刷郵便物からECへの移行の長い過程に向かっているのだから、その過程の中にビジネスの機会を見つけ出すことが先決である。この点では利用者もサービス提供者も同じような見解であったと思う。
またECだけでビジネスは成り立たないことも1999年には分かってきた。ECでは先頭のamazon.comが在庫を抱えていたことがバレた。しかも流通倉庫をもっと建設している。amazon.comは株価は強いが赤字が続いている。これはコンピュータ/ネットワークへの過大な投資が原因だろうが、この改善のためにはバーチャルなビジネスではなく、リアルなビジネスへと移ろうとしている。
他のECの先進的な企業も、流通拠点を全米各地に建設したり、従来型の同業者を買収したりして、リアルなビジネスへのシフトを強めている。要するにECは一人歩きしない。バーチャルな世界がリアルな世界を凌いだりはしない。しかし過去のリアルな世界だけではこれからのビジネスには不十分なのである。現実のビジネスの上にECの利便性をかぶせることが結論なのだろうが、両者のバランスをどうとるかが難しいのが現状である。
印刷のECについては、 PAGE2000の電子受発注トラック をご参考ください。
また別に 参考記事があります。
2000/01/05 00:00:00