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XMLデータベースと連動したWeb・ドキュメント制作の進化(研究会速報)

XSL-Formatterの最新状況と活用事例

アンテナハウス株式会社  代表取締役 小林 徳滋 氏

XSL-FOからページレイアウトするソフトは,世界に18種類くらいある。もっとも良く使われているのは,そのうち3種類である。Apache FOPは,XSL-FOからPDF文書を作成するオープンソースのライブラリで,もっとも良く使われている。また,RenderXという会社のXEPがある。アンテナハウスのXSL-Formatterは,99年より発売し,国内外で1,000ライセンス以上の実績がある。

XSL-Formatter V3.3では,大量ページ組版が可能で,多機能なPDF生成,日本語組版機能,アラビア語・ヘブライ語・タイ語などの多言語対応,SVG対応,MathMLの組版,WordMLの組版対応,CMYK・スポットカラー等のカラー指定に対応している。日本語組版では行頭行末の禁則処理,句読点のぶら下げ,約物処理,和欧間の設定などの機能が強化されている。

国内での使用事例として,プリンタ・メーカーが食品スーパー向けに提供しているASPサービスのレシピカードプリンティングサービスがある。店の従業員が,季節に合わせて簡単にレシピカードを必要な量だけ作成することができる。画面上でレシピカードの内容を選択すると,ダイナミックにXSL-FOが生成され,クライアントのPCから印刷をおこなうことができる。
他に,医薬品開発のための治験データ収集システムがある。医療現場でWebブラウザからデータ入力し,XML形式でデータを収集・管理している。行政向けに提出する膨大な書類をPDFとして制作している。
また,新築マンションの販売情報管理システムでは,顧客ごとに必要な情報を入力し,物件のデータや価格などが書き込まれた契約書類や報告書類をPDFとして制作している。

業務効率化のためのXMLデータベース構築とPDF文書出力

三井情報開発株式会社  総合研究所 主席コンサルタント 土田 良夫 氏 氏

三井物産の社内業務は,扱う品目や部署,相手国によって,契約・決済・受渡など非常に複雑な業務体系となっている。業務プロセスを効率化するために,新たに業務マニュアルをXMLデータベース化したシステムを構築した。データベース項目のIDの数は8,300,プロセスでは33万プロセスという膨大な種類となっている。

マニュアルは,共通部分と個別業務部分に分かれて,プリントする際にダイナミックにPDFが生成される。その部分にXSL-Formatterを利用している。
対象業務の規模があまりにも膨大で仕様設計期間が長期化してしまうため,システム全体の設計開発を一気に進めるウォーターフォール方式ではなく,部分的に設計開発・テストを繰り返すスパイラル方式の開発手法を採用した。その際,XML専用データベースのNeoCoreとXSL-Formatterの開発環境の柔軟性が非常に役に立った。

2005/05/19 00:00:00


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