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社内ネットワークの強化をサポート

イワニチ高速オフセット株式会社は,岩手県一関市に平成2年に設立された東北屈指の印刷会社である。岩手日日新聞社のグループ会社として一般商業印刷を一手に引き受けるほか,近隣地域および他県の外注から依頼を受けた印刷も行っている。高速輪転機2機および平台印刷機のほか,断裁・製本機器などの設備と,高度な技術でニーズに対応している。また,制作関連では主に岩手日日新聞の記事下広告を中心に,東京を始めとする他県からのチラシ・パンフレット類の制作も行っている。
岩手日日新聞社グループはイワニチ高速オフセットのほかにも,ケーブルテレビやビジネスフォーム,また他社の新聞印刷を受託している別会社と合わせて9社あり,さらに東京・仙台・盛岡に営業所を構え,東北から関東までのネットワークを形成している。
同社が多様化する印刷,そしてDTP制作のニーズに対応するためDTPターボサーバーを導入し,その後どのようにワークフローが変化しているのだろうか。今回は同社生産品質管理室部長 須藤武彦氏,画像センター主任 小笠原誠氏にお話を伺った。

サーバの役割とは?
「サーバに何をさせるか?ということを考えた結果,『一元管理』であるというところに行き着きました」と須藤氏。3年ほど前から考えていたサーバ導入の大きな目的はそこにあったと言う。
「DTPデータがデジタル化されてから,各オペレータごとにMOでバックアップを取っていましたが,1日15分だとしても,積み重ねれば相当の時間になります。制作に関係ないバックアップやデータ管理という部分で,オペレータが多くの時間と気遣いを必要としてきました」(小笠原氏)MOでバックアップを取ることがデータの二重化につながり,逆にどれが最新のデータなのかが分からなくなるという混乱もあったそうだ。制作側同様,営業側でもデータ集配信に関する問題が存在した。「お客様のデータを,今までは営業が取りに伺っていました。1往復1時間が3件として,約3時間,営業全員が毎日,短納期が迫られる中,本来の営業活動ではないことに時間を取られていました」(須藤氏)。
同業他社からCTP化のニーズが高まる中,MO内のデータをCTPへ出力することには対応できたが,その間のデータの受け渡しという部分が大きな問題となってきたというわけだ。DTPターボサーバー導入後,同社ではどのような変化が起きたのだろうか。
「制作側ではサーバ内のデータのありかが整理され,検索やプレビューですぐにデータを探すことができるようになり,また営業側では顧客自身にデータを探してもらえるようになったので,今まで費やしていた時間がゼロになりました。DTPターボサーバーを導入してからそれぞれのムリ・ムダだった部分が削減され,まるっきりワークフローも変わったと感じています」(須藤氏)

実際のサーバ構築とサーバによる自動処理
サーバ内の実際のデータ構成に関して小笠原氏は,「RAIDを(1)商業印刷向け(2)グループ会社および新聞広告向け(3)入稿受け付け,の3つのパーティションに分けています。さらにそれぞれの中で制作中のもの,在版のものと分けており,(1)ではデータベースのVentureを使用,よく再利用される画像データに対してはクライアント別,商品ジャンルとフォルダを分けることで流用しやすくしています。制作中のものは地域別,クライアント別に分け,受注番号をフォルダごとに付けることによって管理しています。在版はデータ削除などを防ぐためにダウンロードのみ可能にしています」。
データをサーバ内で整理したことにより在版データの検索フローが大きく変化し,利用者にも分かりやすくなったと言う。また,DTPターボサーバーを使用したフローの自動処理も行っている。
「顧客が入稿フォルダにデータをアップロードすると,自動で担当者にメールが送られるように設定しています。特に顧客が急いでいる場合でも,すぐに気がつくことができます」(小笠原氏)
「メール通知など,かゆいところに手が届くシステムで,お客様の突然の依頼や短納期にも対応できるようになりました」(須藤氏)
さらに今後は,Ventureのオートメーション機能を利用したさまざまなワークフローを構築したいと言う。「例えば制作用のフォルダにあるデータが3カ月たったら自動で在版のフォルダに移動する,校正のチェックが入ると自動的にリモートプルーフ出力やメール配信が行われる,またPDFデータ入稿限定で,アップロードされたら自動で専用のフォルダに移動され,RIP,CTP,印刷と自動で流れるフローを構築する…といったことを計画しています」(小笠原氏)。

サーバベースリモートプルーフ
同社がDTPターボサーバーを導入した理由の一つに,リモートプルーフがある。これは,制作側がサーバに校正用PDFデータをアップロードすると,相手側のプリンタから出力され,相手はそこに赤入れを行った後にスキャニングすると,再度PDFとなってサーバに戻り,制作側はそれを見ながら修正を行うというものである。同社はグループのうち5拠点にリモートプリンタを導入した。「遠隔地とのやり取りであるため,従来は宅配便の利用が主で,その分の時間のロスがありました。現在では朝校正データを送れば,その日のうちにはこちらに校正されて戻るので,校正で時間を取られることがなくなりました。設置先も喜んでおり,営業の動きが早くなったと好評です」(須藤氏)。

社内体制のさらなる強化へ
導入時を振り返り,「いろいろなサーバを見て検討しましたが,私どもがサーバの役割として挙げた『一元管理』『データ受け渡し』『在版管理』『データプレビュー』に合致したのはDTPターボサーバーだけでした」と須藤氏。今後の展望としては,社内制作部門の生産管理システムとの連動を挙げている。「プリプレスの制作過程は経営的に見ればブラックボックスな部分が多い。生産管理システムの導入により,経営者側は制作部門の実際を把握し,社員には自身の仕事に対する自覚を促すことで,問題改善に向け経営者と社員が一体となって解決できるのではないかと考えています」「自社でもっている環境を生かし,ささいなことを見逃さず『アイデア』を生むことで,企業がまい進でき,お客様を囲い込んでいくポイントだと思います」(須藤氏)。

イワニチ高速オフセット株式会社
本社 〒021-0822 岩手県一関市東台14-37
TEL 0191-23-9333
URL http://www.isop.ne.jp/iko/

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『プリンターズサークル 2005年11月号より』

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2005/11/05 00:00:00


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