フォントのデザインと役割(研究会速報)
■フォントデザインの要件と効果を考察する
(印刷物のほか,携帯電話など多種類の媒体に対応するフォントデザイン)
株式会社イワタ 顧問 橋本 和夫 氏
1.フォント(書体)デザインの役割
フォントは,印刷物のほか,携帯電話,デジタルカメラなど多種類の媒体の説明,指示などにも使用される。活字,写植,フォントのデザインはアナログ,デジタルと一様ではないが,多種類の媒体に対応したフォントデザインに役割がある。
2.フォントデザインの要素
・目的に適応するフォントのデザイン = 書体と文字の仕様
・文字のデザイン
字形,太さ,大きさ,エレメント = 錯視矯正によるバランスの調整
3.フォントの監修と評価する
・総合的な能力 = 書体デザインの知識,経験,文字組版など
・説明する能力 = 評価し,内容の説明をする(評価結果の説得)
4.フォント(文字書体)デザインの考察
・文字の表記に筆書系書体が使用されている。特に楷書体は書体の原点であり,文字デザインの基本書体でもある。
・楷書体は,明朝体のデザインに比較して,より個性的なデザインがある。
・デザイン側,使う側ともに書体の評価,文字品質の差などを容易に見分けられる書体である。
・楷書体の文字品質に刺激され,デジタルフォントの文字品質に,アナログ感覚とデジタル感覚が融合した文字デザインが,今後も継続されるものと考える。
■書体の役割とこれからの書体デザインを考える
(文字の役割,書体の機能,読みやすさ,美しい組み版などを考えてみる)
有限会社字游工房 代表取締役 鳥海 修 氏
1.文字の役割を考える
・文字はコミュニケーションの基本的な道具
・文字は言葉
2.書体の変遷
・手彫り活字
・ベントンでの金属活字
・写植文字
・ビットマッフォント
・アウトラインフォント
・グレースケールフォント
3.読む書体と見る書体(見る書体を中心に)
・花森安治
・河野鷹思
・山名文夫 他
※個性と没個性
4.書体の基本要素とこれからの書体像を考える
・大きさ、太さ、骨格、エレメント
・書体生成とイカルス
・電子機器と書体
5.コーポレートフォントを考える
・ブランドイメージ
・整理整頓
・個性
・社員教育
(ベンツ、レクサス、日産、サントリー、資生堂、アクシス、精興舎、秀英体など)
会社の顔であるコーポレートフォントは,個性だけを主張するのではなく,社員を含めた統一感や意識低下を防ぐメッセージを感じる。
2006/01/11 00:00:00