デジタル印刷分野はさまざまなアプローチがあり技術的な到達やビジネスへのアプローチは微妙に異なる。PAGE2006コンファレンスE4「デジタル印刷のCIM」からベンダー各社の方向を探る。
【その1:富士ゼロックス】(その2はこちら、その3はこちら)
小ロットジョブの増加するなかで、印刷会社が収益性を最大化するには、より効率的なワークフローを実現するための技術を受け入れなければならない。増えるジョブ数と時短を求められる1ジョブあたりの時間に応えるためには、生産性向上が必要である。
印刷企業が今後のワークフローに必要とする課題のトップ5は、(1)受注・工程管理の合理化、(2)プリプレス処理と印刷処理の自動化、(3)レイアウト作業の簡素化とギリギリまでの修正変更、(4)柔軟性の向上(オフセットとデジタル印刷の使い分け)、(6)新しいアプリケーションの導入(バリアブル印刷など)である。
1.FreeFlow Workflow
このワークフローの目的は印刷会社にとっては小ロットでの利益率の増加を図るために、多くの仕事をより効率的に管理し、プリプレス処理では自動化によるエラーの低減を図り、ひいては顧客満足度の増加を図るものである。 そして新たな付加価値として次のように5つのソリューションへのアプローチがある。
しかし、実際に発注者から入稿するDTP済みの印刷ファイルの問題点は、1998年にGATFが調べ たときも、2003年にシーボルトが調べたときも、内容的にあまり変わっていない。
入稿するDTP済みの印刷ファイルの問題点 | |
1998年(GATFの資料から)
・フォントが無いか間違っている ・指定されたイメージがない ・イメージの色空間が違っている ・イメージの解像度が低いまたは高い ・ページサイズやページ指定が間違っている ・裁断指定のミス(不足) ・ページレイアウトミス ・プルーフされていない ・トラッピングの問題 ・ブレンド・バンドの問題 |
2003年(Seyboldの資料から)
・フォントが埋め込まれていないまたは代替である ・RIPまたは出力問題 ・間違った色空間 ・透明化の問題 ・裁断指定のミス(不足) ・オーバプリント・トラップの問題 ・ページサイズ情報誤り ・特色のミスマッチや変換 ・イメージの解像度の問題 ・指定されたイメージがない |
このような状況の中では、ギリギリまで変更できるような「ギリギリ処理」ができれば混乱する必要もなくなるだろう。Web to Printによる自動化工程は下図のようなイメージになる。 ポイントは合理化のソフトだけを導入しても、時間は短縮できないこと。必要なことは「可視化」していくことであり、FreeFlowはそのような機能を提供する。
では、どうやったらすぐに印刷可能なファイルが得られるか、工程を短くできるかについては、入稿される前に誤りを見つけ、修正すること。そのために、FreeFlowでは発注者がPDFを制作するときに、印刷側で設定した制限を反映したPDFになるようになっている。発注は印刷会社にWebで接続して部数などを入力するようになっている。このようにできるだけ手前で誤りを無くして行くかがポイントである。
課題解決の考え方は、発注先のさまざまな印刷物や文書管理の混乱の一部を解決することができるだろう。たとえば、発注元の文書管理が先にあって印刷物を発注するパターン、カタログ発注も利用できるようになっている。
このソフトは裏では顧客情報や発注情報がデータベース化されているので、CRMとのインテグレーションもできる。
2.オフセット印刷とデジタル印刷の統合
オフセット印刷とデジタル印刷のワークフローを統合化していくと、より早い段取替え、コスト削減、小ロット対応、ミックスジョブ、新しい印刷の応用展開が可能となる。
そのためには、ジョブチケットソリューションを提供する共通のワークフローによって印刷ジョブの統一的な管理機能を提供する。また、オフセットのプリプレスワークフローを使ってファイルを準備させる事が可能であるし、デジタル印刷機向けの処理が必要な場合には、FreeFlowのプリプレスワークフローを利用する事が可能である。
サードパーティの製品などとはオープンなインターフェースとしてJDFやPDFなどを用いていく。
2006/03/13 00:00:00