従来,国内の出版社ではDTPレイアウト作業を制作会社や印刷会社に委託していることが多かった。DTPに必要なMacやプリンタなどの機器,アプリケーション,フォントなどが高価であること,複雑な日本語組版や写真のスキャナ入力にはスキルが必要なことから,制作印刷会社に委託するほうが効率的であったからである。
しかし近年,出版社はWebでも情報発信をおこなうようになったため,コンテンツを共用し情報発信のサイクルを短縮することが要求されている。さらに出版市場も低迷しており,制作コスト削減も要求されている。これらを実現するには,DTP制作とコンテンツ管理,Web制作を統合することが必要である。
日本スポーツ出版社のグループ会社であるNSSでは,「週刊ゴング」など週刊誌・月刊誌の編集部内DTP制作を実現するために,Windows版InDesignとプラグインを使用したシステム,Magic-Editorを開発した。このシステムでは自動メール送受信による原稿依頼,写真やテキスト原稿などのコンテンツ管理,テキスト原稿の自動校閲,フリーデザインに対応した自動組版,作業進捗管理,Web用コンテンツへの自動更新などが可能であり,専門的なスキルを持たない編集者によるDTPとコンテンツ管理を実現した。
本ミーティングでは,スキルレスDTPとコンテンツ管理など新たな出版ワークフローの実現,編集部門でのDTP内製化の状況について考察をおこなう。
また,「週刊ゴング」の過去40年に渡る2000万点のポジを貴重な資産として活用するために、プレビュー・検索可能な形にデジタル化するプロジェクトについても紹介する。
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