『未来を創る― THIS POINT FORWARD ―』
山下潤一郎 訳/公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)監修
体裁:A5版/定価:2,750円+税
発行日:2015年4月(予定)/発行:公益社団法人日本印刷技術協会
「未来を破壊する」著者 Joe Webb博士の最新刊
“ THIS POINT FORWARD” 待望の日本語版
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JAGAT ではJoe Webb 博士の「未来を破壊する」について考えてきたが、この度Webb 博士の最新刊である“THIS POINT FORWARD” の日本語訳を出版することになった。
「未来を破壊する」は問題提起編的内容で、「このままでは印刷業界は大変なことになってしまいますよ」という予言的な本である。しかし問題提起ばかりされても、何をやったら良いのか?さっぱり分からないというのが本音だろうし、そういう業界関係者のために書かれたのが、“THIS POINT FORWARD”なのである。同書の日本語訳版を山下潤一郎訳、JAGAT 監修で出版することとなった。邦題は「未来を破壊する」を意識して、「未来を創る」とさせていただいたが、原題の“THIS POINT FORWARD” と比較しても意味が分かりやすいという判断である。
内容を簡単に紹介させていただく。
第1章では、さまざまな経済データが示されており、印刷業界にとって警鐘を鳴らすのが目的である。現在の状況に至った過程が示され、「この地点」つまりTHIS POINT で、印刷を取り巻く環境や印刷ビジネスを率直に評価している。そして残りの章で“THIS POINT FORWARD” の主題を展開していくことになる。
第2章では、測定について問題視している。電子メディアがマーケティング担当者やコミュニケーター(広報宣伝担当者、IR担当者、など)によって広く使われているのは、電子メディアが効果測定可能だからである。欧米の宣伝マンの多くは大学で専門教育を受けた人が多く、効果測定については一家言以上持っている方ばかりである。これは、印刷物は測定不可能だと言っているのではなく、印刷物も測定できるのだ。特に印刷物の価値を高めたいと考えている人は、その方法を理解し、印刷発注者に説明できるようになる必要がある。
第3 章では、マーケティング・オートメーションという、新しく出現しつつある技術動向について議論する。疑問は多いが。実際には、印刷物と非常に深く関わっているということを主張している。
第4章では、恐怖(fear)、不確実さ(uncertainty)、疑い(doubt)、そして惰性につながる道筋を明らかにしている。2020 年を見据えたビジネスへの移行を考えるのではなく、2020 年に向けた新しいビジネスをゼロベースで構築することに注目している。ゼロベースでスタートすることこそ、この本の真骨頂でもある。
第5 章では、2020 年を見据えた新しい印刷ビジネス創出に必要な具体的ポイントを議論する。過去問ばかりを暗記する受験勉強型の「バックミラー型戦略」と、誰も考えなかった画期的な方法で問題を解く「先見型アプローチ」を比較すれば、どちらが未来を創るために必要なのかは自明である。
第6章では、印刷会社が2020 年を見据えたビジネスを構築するために必要な基本戦略をまとめている。
各章の間では「ある日の過ごし方」を幕間劇的に紹介している。これらの幕間劇は現実における人々のメディアの使い方を読者に理解しやすいように編集されている。
以上が「未来を創る」“THIS POINT FORWARD” の概要だ。4月に出版を予定しているのでご期待いただきたい。