サブスクリプションの動画配信サービスや、有料コンテンツ配信が加速する中、広告媒体の価値を考えてみる。
昔のテレビにあって今のテレビにないもの
昨日の記事からの続きになるが、筆者の自宅リビングにもスマートテレビがある。動画配信サービスはサブスクリプションが基本であるとともに、オンデマンド配信なので子供たちは、自分の観たいコンテンツを自分の好きなタイミングで観ている。そこにそれまでのテレビには必要不可欠であった「タイムテーブル」と「テレビCM」という概念は存在しない。たまに地上波で放送された番組の見逃し配信サービスを利用することがあるが、スキップ出来ないCMの長さを憂いている。
ライブ配信の価値が一気に向上
一方、スポーツや音楽ライブなど、そのタイミングでしか観ることが出来ないコンテンツの価値は一気に高まる。先週の日曜日行われた格闘技イベントでは、当初予定されていた生中継を予定していた地上波放送局が放映を撤退したが、その結果PPV(ペイ・パー・ビュー:動画配信サービスの有料コンテンツに料金を支払って視聴するシステム)の契約数が急増したという。最終的には5,500円の視聴サービス購入数は約50万件以上に達し、放映権料とスポンサー料を大きく上回る結果となった。無料で観られる「テレビ番組」が無数にある中、有料の「コンテンツ」の視聴者数でビジネスが成立する事例が日本でも生まれつつある中、テレビCMの価値は低くなっているのだろうか?
「日本の広告費2021」によると、テレビメディア広告費は1兆8,393億円(対前年111.1%)という。2021年の広告費は全体として、ほぼすべての媒体でコロナの影響を受けた前年との比較でプラスになっているが、テレビメディア広告費はコロナ前の水準(2019年;1兆8,612億円)に戻っている。そしてこのテレビ広告費の前年比伸び率が最も高い業種が「情報・通信業」である。テレビどころかマス4媒体の広告費を上回る勢いのインターネット広告の大元である業種が、テレビCMに価値を見出しているというのも興味深い。
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まだまだテレビCMの優位は揺るがないが
上述した通り、私の子供たちは家のリビングでテレビを観る時には、主に動画配信サービスを選択しているが、テレビ世代の私は、暇な時はほぼ無意識に地上波にチャンネルを合わせてしまう。おそらく私よりも年上の方々であれば猶更ではないか。しかしテレビCMを打てるほどの広告費がある企業は多くないはずだ。「日本の広告費2021」によると「DM(ダイレクトメール)」広告費は3,446億円(前年比104.7%)で、その中で特に増加したのがネット広告でカバーし切れないターゲット向けの無宛名便であった。また雑誌広告費は1,224億円で、前年とほぼ同水準だったが、雑誌の販売金額が前年割れする中、広告費が堅調に推移したのは、ターゲットを絞ったり、ニッチなテーマを取り上げるメディアの広告費の増加であろう。
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ターゲットが特化されたニッチなメディアは効果が高い
当協会の会員企業に毎月送付しているJAGATinfoも、7月号からオールカラー化することになった。JAGATinfoは、印刷業界の経営者が最も読んでいるメディアと言っても過言ではないほどターゲットは特化しており、テーマもかなりニッチだ。JAGATinfoのリニューアルに合わせて広告プログラムも見直しを図り、リーズナブルなプランや、デジタルメディアと連動したセットも提案可能になっている。詳細はこちらをご覧いただき、ご活用いただきたい。
(CS部 堀雄亮)