「第66回インターナショナルプレミアム・インセンティブショー秋2022」では、印刷関連企業が、自社の強みを生かしたユニークな製品をアピールしていた。
株式会社ビジネスガイド社が主催する、販促・企業ギフト・マーケティングの国際的な専門見本市「第66回インターナショナルプレミアム・インセンティブショー秋2022」(以下PIショー)が2022年10月5日-7日の3日間、東京池袋・サンシャインシティ 文化会館ビル コンベンションセンターで開催された。
出展社数128社。出展社も来場者もコロナ禍の展示会のあり方を理解した様子で、感染対策を取りながらも、熱のこもった商談が行われていた。
印刷会社、紙業会社、紙工会社の出展も見られた。PIショーをはじめとする展示会への出展経験が豊富な企業も多く、これまでの自社製品の蓄積に加え、現在の市場や消費者のニーズに対応した新たな提案が目立っていた。その一部を紹介する。
印刷・加工の得意分野を生かす
株式会社イメージマジック
Tシャツや雑貨へのプリントサービスを重点に出展。ガーメントプリンターのブラザー GTX pro、PETフィルムへの転写プリンターTransJet DTTS-P302のほか周辺機器を実機展示した。
株式会社笠間製本印刷
オリジナルクリアファイル印刷サービス「かさまーと」の多彩なラインナップを紹介。SDGs関連では、紙製で糊を使用せず圧着機で留めた「エコペーパーファイル」、再生プラスチック100%の「高透明エコ」、ストーンペーパー利用の「ストーンファイル」をアピールした。
加陽印刷株式会社
レンチキュラー技術による3D表現を仕様したカードなどのサンプルが来場者の注目を集めた。そのほかファイル、ケース、ポーチ、トレーディングカードなど多数のサンプルを紹介した。
株式会社慶進社
販促グッズの注文サイト「千客万来」で出展。手足を動かせる「ペーパームービングフィギュア」、知育玩具となる「折りキャラレター」、書籍の形をしたゴムバンド付きの箱「まるで本!箱」など、ユニークなアイテムがあり、用途に応じてカスタマイズが可能である。
グランド印刷株式会社
ターポリン幕専門の印刷通販「まくする」で出展。自動見積もりシステムにより、価格を見える化。ハトメ加工、棒袋縫い加工などにも対応。実績事例として商業施設の懸垂幕、横断幕、仮囲い装飾幕、屋上広告サインなどがある。
株式会社国府印刷社
「会話はずむ名刺3選」をテーマに出展。「きらめき箔 名刺」はデジタル箔を使用して小ロットに対応、デジタル箔の上からさらにプリントすることで多彩な表現が可能。紙製の「名刺サイズ エコファイル」は、ファイルに名刺印刷をして自社PRのミニカードを挟み込むなど、営業ツールとしての活用が可能。「名刺サイズ ポケットパンフレット」は、留め具に使用した色こよりがアクセントになっている。
有限会社笹尾印刷所
越前和紙に漆喰塗料を塗った漆喰和紙の「銀雪」を活用した製品のブランド「Well be」で出展。靴の消臭・抗菌に利用できるシューシート、バッグイン・バッグ、アートパネルを紹介した。
三和綜合印刷株式会社
廃棄米によるバイオプラスチック「ライスレジン」を素材としたクリアファイルを展示。そのほか、ユニバーサルデザインを意識した製品の数々を披露した。「ノンレールファイル」はファイルに書類を挟んだ後、端を折ることで綴じる仕組み。「点字クリアファイル」は、印刷した文字の上から点字をエンボス加工。「ユニバーサルファイル」は、両面に指抜きを付け、右利きでも左利きでも使いやすい仕様。
第一資料印刷株式会社
オンデマンド印刷・製本サービス「ガップリ!」のさまざまなメニューを紹介した。オリジナル絵本は、作家の自費出版、企業や行政の広報、地域ブランディング、大学の啓蒙活動などの用途に採用されている。そのほかオリジナルノート作成サービス「書きま帳」、オリジナルカレンダー作成サービスも紹介した。
大同至高株式会社
クリアファイル製作の技術を応用した、PP素材のユニークなノベルティを紹介。子供向け玩具として、組み立て式のコマ、飛ばせる飛行機、パズルボール、走る自動車など。スポーツの応援グッズとしてユニフォーム型うちわ、ハンドクラッカーソード。キッチンツールとしてまな板、ランチョンマットなども展示した。
ニヨド印刷株式会社
SDGsを打ち出し、国産竹100%の竹紙(バンブーペーパー)、米からできたkome-kami(コメカミ)などの紙製ファイルをはじめ、ペーパーリングカレンダー、さまざまな綴じ方のノートを紹介した。
紙素材ならではの製品開発
株式会社板野紙工
厚紙製のオリジナルティッシュカバー製作サービスを紹介。台紙に切れ目が入って
おり、切り取って組み立て、市販のボックスティッシュを入れて使う。オーダーに合わせて自動車、飛行機、靴などさまざまなデザインが可能。これまでの実績の90%以上がノベルティ用途だが、販売用の受注もあるという。
株式会社グリーンフィールドプロジェクト
有機種子の販売を手掛ける企業が、和紙販売の小津和紙と協業し、種を和紙に漉き込んだ製品「plant it」を開発。水につけておくと、自然に発芽する。
山陽製紙株式会社
炭化させた梅の種を再生紙に漉き込んだ「スミデコペーパー」を素材とした消臭機能付きのノベルティ「スミエコクック」を出展。消臭・抗菌・除湿機能があるという。靴に入れて利用する。企業への導入実績も紹介していた。
長井紙業株式会社
ペーパーストローや和紙のテーブルマットなどの環境対応製品、抗菌・抗ウイルス和紙を使用したファイルやマスクケースなどを紹介した。
株式会社山櫻
ファトレード認定されたバナナペーパーをアピールした。越前和紙、洋紙、板紙のシリーズがある。板紙で製作したエシカルハンガーを紹介。そのほか採用事例として卓上カレンダーや包装紙を展示した。
このような展示会への出展が、新たな案件に直結する訳ではない。しかし、出展を繰り返す中で、自社の存在を知らせていくことができる。また来場者からのフィードバックを通じて自社の看板商品を育てることができ、さらに他の出展者との交流で新たな事業の方向が見えてくる可能性もある。
今回のPIショーでは、印刷関連会社の創意工夫が感じられた。各社の今後の発展に期待する。
なお、JAGATでは、2023年2月1日-3日まで「page2023」を、サンシャインシティで開催する予定だ。印刷会社のオリジナル技術・製品・サービスをアピールできる「印刷パートナーゾーン」も設けている。多くの印刷関連企業に出展していただきたい。
(JAGAT 研究調査部 石島 暁子)