※本記事の内容は掲載当時のものです。
書評:『成田さんのヤングのためのオフセット印刷雑学』
成田祐司著
発行所 つるぎ出版社 B5判 210ページ 2100円
本書は印刷月刊誌「印刷センター」に、1991年2月号より1999年6月号まで100回にわたって連載された記事を収録したものである。
若い印刷オペレータ向けに難しい印刷技術論を、視点を変えて平易に解説している。 一般の印刷技術解説書とはやや異なり、印刷技術を日常印刷現場で起きている事例をキーワードに取り上げ、容易な読み物風に解説しているので分かりやすい。
著者も言うように、印刷プロセスにおいては、印刷機というハード面の技術的な進歩はあるものの、印刷原理はそれほど変化してはいない。言い換えれば15年前の印刷技術の話題も通用するほどである。それに比してプリプレスの技術変化は、デジタル化されたことにより著しく、10年前の理論や用語が通用しない。そして現代のようなDTPの時代では、プリプレス技術と印刷技術は切り離せなくなっている。
そのキーワードの中で、とかく技術的なことばかりに目がいくが、第36回&第37回の「トラブル1&トラブル2」や第67回「標準化」、第99回「5S」が特に参考になる。なかでも「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」の5つの頭文字を取った「5S」は、「標準化」とともに現場の管理技術として重要なテーマである。
とかく印刷技術解説書となると難しくて眠くなるものであるが、それを砕けた表現で容易に説明している。どこから読んでも肩が凝らずに面白く読める。本書は印刷技術論ではなく印刷実務論と言えるものである。若い印刷オペレータへの貴重な指針となる書であろう。
(2006年7月20日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)