『DTPフォント完全理解』

掲載日:2014年8月20日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

 
書評:『DTPフォント完全理解』
発行所 ワークスコーポレーション
和田義浩他共著 B5判 212P 3000円(税別)

 

DTPの誕生以来,日本語フォント環境は変化してきた。また21世紀に入り新しいフォント環境が生まれ,フォントフォーマットを覚えるだけでも大変である。今までフォント関連の解説書や参考書は数多くあるが,解説内容には隔靴掻痒(かっかそうよう)の感があった。

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フォント環境は0S環境の変化に関係している。つまりMac OSではPS(OCF/CID)/TrueTypeフォント,WindowsではTrueTypeフォント,そして新たに両者共通のOpenTypeである。なぜDTP関係の日本語フォント環境はこのように複雑なのであろうか。

「DTPのトラブルの大半はフォントに起因し,そしてフォントのトラブルは難解といわれているが,理屈が分っていれば理解しやすい」と著者はいう。それはフォントの問題というよりも,コンピュータのOSとアプリケーションに関連しているからだ。

本書はフォントに関する周辺知識のことから,トラブルの原因や対処方法など,微に入り細にわたり解説している。加えて本書の組版レイアウトはユニークである。特にノンブルの位置,柱の組み方が特徴的である。

OpenTypeの登場で,DTPにおけるフォント環境は整備されたといわれているが,アプリケーションの対応が不十分という現状では,一概に喜んではいられない。フォントに関して外字環境の違いが引き起こす混乱は,OpenTypeになっても当分の間続くであろう。まだ普及していないとはいえ,今後の対応として第6章の「OpenTypeフォントの全貌」の解説は,DTPユーザに大いに参考になる。

 

(2003年3月24日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)