デジタルプレスとクロスメディアにより印刷の未来をつくる

掲載日:2014年8月25日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:デジタルプレスとクロスメディアにより印刷の未来をつくる

 

朝日プロセス株式会社
クロスメディアと最先端の技術で印刷の未来を加速

 

 同社は、昭和50年に製版会社として創業し、業界でもいち早くコンピュータ化を行い、コダック社のデジタル印刷機Kodak NexPress(コダック ネクスプレス)をかなり早い時期から導入した。本稿では、同機の提供するソリューションはもとより、一代にして創業し、製版業界トップにまで会社を成長させ、今やなお勝ち続ける、豊泉社長であるからこその言を伺った。

ネクスプレス導入契機とその効果

 同社は、マッキントッシュの導入など、デジタル化への設備投資など、生産性向上に早くから着手してきたことが成功の要因である。コダック社のネクスプレスを導入したこともその一つである。パソコン上で作成したコンテンツをフィルムや人員を介さずにダイレクトに出力できることに目を付けた。ネクスプレスが開発される前から、待ち望んでいた機械でもあったとのこと。また、製版業界が競争時代を迎えるに当たり合理化に踏み切ったことも、勝ち続けていることの理由と語る。「ネクスプレスのようなデジタル印刷システムを導入しない会社は、製版業自由競争時代に勝ち残れない」とまで豪語する。
ネクスプレスを選んだのは、用紙を限定しないこと、表裏が同時に印刷できること、多様な紙の種類に対応しデザイナーの要求どおりの紙を使用できることなどが挙げられる。また、色再現性は、コンテンツの有する色を再現するという使命を十分に果たし、必要十分であるとのこと。

Kodak NexPress(コダック ネクスプレス)ならではのシステム

 コスト面で言えば、カウンター料金がゼロであることが大きい。つまり、試し刷りに要する枚数や損紙などがカウントされないため、メーカーには、無駄なカウンター料金を払うことがない。そのため、ユーザー側の利益が生まれるシステムになっている。印刷という仕事は、より良いものを作ろうとなると、刷り直しを要し、試し刷りにヤレを出さなくてはならない。そのため、余分な紙を使い消耗品にも費用がかさむ。インキも当然、残業代や光熱費も払うという多重なコストが発生することになる。それを考えるとカウンター料金ゼロというのは、ユーザーの立場を考えた当然のシステムであると語る。

デジタル印刷機は将来展開に不可欠

デジタル印刷機は、例えば、海外で行われたスポーツの試合結果を、通信によって各国にデータを送り、その2時間後には世界各地でカラーの新聞を手にすることができる。こうしたことができるのは、ネクスプレスのようなデジタル印刷機が生まれたからこそである。即時性が高いのは当然ながら、最新の情報を世界中の人たちと共有できるのが、大きな利点である。オフセット印刷機も使ってきたが、工場の環境など、機械性能以外の不安定要素もあり、完全自動化による無人運転は不可能である。工程管理には、どうしても人を要するのである。ネクスプレスは、無人運転ができ、オフセットと比べ、広いスペースも要さず、同社では社屋の5階に設置している。短納期要求が高まる中、ロットの少ないものや、サイズの小さいものはすべてデジタルに置き換わると予測する。

 

超一流だからこそできる総合力の実現

 同社では、早くにクリエイティブ部門と写真スタジオを社内に設置した。川上部門をもたなければ競争に勝てないと思ったのである。ただ、ネクスプレスを導入したからといって競争に勝てるわけではない。今や、企画提案からデータ作成、出力までを一気通貫で行い総合的に仕事を請けなければ、自由競争時代に取り残されると予見していた。それには、各部門に優秀な人材と最高の設備を配し、各部門が超一流でなければ総合力は生まれない。ネクスプレスも一流であるからこそ選んだ。目先の利益を優先せず、導入効果が現れるまでの先行投資として考えた。今では、投資費用対効果としての見返りは十分と語る。

デジタルとアナログの有するメリットを複合展開

 同社では、デジタルとオフセットの長所を生かしながら使っている。納期、品質、ロット、使用目的など、お客様のニーズによってどのやり方が良いかを提案している。最近では、デザイン会社や企画会社からの受注が多い。ネクスプレスの仕事としては、バリアブル機能を生かした仕事が多く、DMを始めバーコード、QRコード、連番チケットやカードゲームの番号などというのもある。「わが社では、お客様とは常に対等の立場で提案し、一緒に利益を出そうというパートナーシップの考え方をもって営業している」と豊泉社長は語る。
 同社のスローガン「クロスメディアと最先端の未来と印刷の未来を加速します。」の意味するところは世の中が通信ということを複合してさらに進化していくこと。印刷だけにこだわるのではなく、何かの社会事象や催しがあれば印刷物も作られる。そうなれば、印刷という概念もメディアの一つであり、通信やデジタルで想像以上に印刷メディアは進化していくことになる。これも、豊泉社長だからこその未来思考的な着眼点があるからこそである。

 

NexPress 2500デジタルプロダクション カラープレスの真価を探る

 デジタル印刷機は、各社とも余念なく技術開発に取り組み、ビジネスモデルの立ち上げなど、既に市場を確立したといえます。この度は、コダック社より発表されたカラーデジタル印刷機Kodak NexPress(コダック ネクスプレス)の新機種について、その真価を探るべく中央区新川のショールームにおいて、ネクスプレス ソリューションズ 鈴木浩二氏にショールーム機能も含めてうかがった。

 

ユーザーとのコミュニケーションを築く情報発信拠点

このショールームは、NexPressの性能をいかに引き出してどのように活用するかということをお客様に知っていただく場として2004年10月にオープンしました。実機を見たいという方向けに、デモルームとして利用いただくほか、実際に機械を操作しながらオペレータートレーニングルームとしても役立てていただいています。既に導入されているお客様をお招きして、弊社から情報を提供したり、ユーザー同志の意見交換を行う場としても利用されています。

 

また、新規のお客様には、データを持ち込んでいただいてテスト出力したり、使いたい紙をテストしたり、導入前の検証にお越しいただくこともあります。来訪される方の多くは印刷会社様で、新しいビジネス展開のために導入いただくケースと、今まで外注に頼っていたオンデマンドの仕事を内製化し、外注費の削減や短納期対応などを目的に導入いただくケースがあります。
 弊社では、機械を導入いただくだけでなく、お客様と一緒にビジネス開発も行い、要望があれば、システム会社や各種コンサルタントを紹介するなど、一緒にビジネスを立ち上げることも行っています。
 最近では、印刷会社だけでなく、今までお付き合いのなかった異業種(印刷業以外)の方々も来訪され、テストや仕様の確認をされることが増えてきました。新しいビジネスを模索されているのでしょう。そうしたニーズも見据えて、今年は世界最大規模の映像見本市フォトキナ(PHOTOKINA)にも出展しました。今後も、そうした啓蒙活動は広がると思います。

NexPress 2500にみる高生産性と高品質

2500では、現行機種2100 plusの印刷スピードを20%アップし、さらなるハイボリューム印刷の生産時間短縮や、短納期を要求するお客様に対して大変大きなメリットを提供します。通常デジタル印刷機で生産スピードを上げると、印刷品質が落ちる傾向にありますが、品質を維持しながら、スピードを向上することを実現したのです。最大で一月約190万枚の印刷が可能で、24時間体制の運転にも対応でき、長時間稼働と色管理に優れ、色合わせや見当合わせに要する時間を短縮できますし、用紙についても、専用紙ではなく通常の印刷用紙が使えるため、同クラス機種と比べて扱える紙の種類は格段に多いです。

 

NexPress 2500にみる改良点

NexPressのような電子写真方式のデジタル印刷機は、トナーインキを熱定着させるフューザー部の役割が非常に重要といえます。印刷速度を上げる場合、フューザー部分の通紙時間を短縮させながら定着の熱温度を上げなくてはならないため、印刷品質や紙の耐久性への影響を心配しましたが、フューザーローラから紙に対しての圧力を可変させることでこうした問題を解決しました。紙幅も470mmから520mmまでに拡張させました。

 

各種特徴を活かした印刷アプリケーション

 バリアブル機能を活かした印刷として、弊社のお客様である太陽プリンティング様では、パーソナル絵本を作っていらっしゃいます。お子様自身の名前を物語の主人公にして専用の絵本を作るのです。
NexPressの仕事の特徴としては、表裏見当精度が高いため、ページ物の印刷も多く、本やカタログなどの印刷にも用いられています。また、金色やパール調の光沢色の印刷表現が可能です。これは、光沢色を印刷するのではなく、例えば黄色系トナーの印刷にクリアートナーを印刷することで金色を再現しています。他の光沢色も同様の手法で可能になり、これは、NexPressでしかできない印刷表現として、お客様の提案の幅を広げました。
その他の特徴として、「カウンター料金ゼロ」というのは、お客様に利益をもたらせる大変大きなメリットです。また消耗部品の交換などもお客様が自身でできるような特殊な設計になっていますので、休日や深夜のオペレーションも安心ですし、万一のトラブル時にメーカーのサービスマンを待つ必要もありません。

ニアラインのNexGlosserは、NexPress本体上でバーコード印刷された用紙特性や仕上げ情報を読み取り、人的エラーを減らすことを目指しました。インラインではなく、ニアラインにした理由は、NexPress本体の汎用性と生産性を最大限に引き出すためです。

 

問い合わせ先
朝日プロセス株式会社
 〒110-0014 東京都台東区北上野1-9-10
 TEL 03-3841-0978(代) / FAX 03-3841-7802

コダック株式会社 ネクスプレス ソリューションズ
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台2-9
koji.suzuki@kodak.com

『プリンターズサークル』2006年11月号より

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(2006年12月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)