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書体の起源:2.書体の変遷(6)
(6)書体の美の結実(唐)
漢代に芽生えてから,六朝時代まで多彩な楷書,行書,草書の書体,書風が残された。草書,行書は今までの単草体から連綿体に発達し,更に自由奔放な書体をも生まれ,文字書体の機能が広がり芸術の域に達したものである。その中で唐代,最も特筆されるのは楷書であろう。唐代は,初,中,晩唐に分けられるが,それぞれの年代に個性のある楷書体の名品がうまれ,後世の文字書体の規範となる。
*初唐の楷書
法を重んじる唐代で,文字も厳正な楷書が重宝される。楷書は端正な字形が特徴である。この年代を代表する楷書を,欧法(厳正,勁健,楷書の法則),盧法(自然で穏健,品位),楮法(筆鋒変化の妙,美麗)といわれ,楷書体の原則を習得するには欠かせない書体群である。
*中,晩唐の楷書
初唐の厳正,勁健で優雅な楷書から,その反動ともいえる個性的で雄渾あふれる力強い顔法(楷書,行書,草書)が生まれる。初唐の楷書群と共に,後世のどの時代にも書の規範として今日に至っている。
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)