消える職業、なくなる仕事

掲載日:2016年3月9日

大阪で開催された「危機の時代の大学経営2016」シンポジウム(グランキューブ)に参加した。NPC大学問題研究所、共同印刷西日本、フロムページが主催したものだ。今回のテーマは、大学教育の将来像を考える(高大接続改革の推進)であった。oosaka講演では、大学が努力してもなかなかランクが変わらないこと、高校生の校外学習時間が大幅に減少したこと、学びの原動力は主体性であること、が印象に残った。
また、個人的に興味深い以下の内容を考察する。

消える職業、なくなる仕事

学生が就職する職業にも異変、危機が訪れている。「あと10年で消える職業、なくなる仕事」を調査した報告がある(オックスフォード大学2014)。ITなど技術革新が進むなか、これまで人間にしかできないと思われていた仕事がITや機械に代わりつつある。たとえば、「やっちゃえ NISSAN」のように、車が自動運転になれば運転手は不要だ。
また、ビッグデータによる情報分析、センサーによる認識能力を組み合わせることで、人間以上の「判断力」を備えたコンピュータも出現している。米国では、コールセンター業務を人間に代わって行う音声応答システムを開発。従来比60~80%のコスト削減ができるようになった。
金融業界では、コンピュータが人間のトレーダーより大量かつ迅速にプレスリリースや決算資料を分析し、投資判断することが日常の風景だ。
オズボーン准教授は「ロボット化は、人類にとって歓迎すべきことだ」と主張する。「かつて洗濯は手作業であったが、洗濯機の登場でその仕事は失われた。しかし、それにより生まれた時間を新しい技術や知恵を創造した。こうして人類は発展してきた。現在起きているのも同じことだ」と語る。
ロボットやコンピュータは芸術、クリエイティブな作業には不向きだ。人間は、機械にできる仕事は機械に任せ、よりハイレベル、クリエイティブな分野に集中するべきだろう。
報告のなかで「消えていく職業」とは以下のものだ。
 ・銀行の融資担当  ・保険の審査担当  ・電話オペレータ
 ・レストランの案内係  ・給与・福利厚生担当  ・レジ係
 ・チケットもぎり係  ・ホテルの受付係  ・図書館補助員
 ・データ入力作業員  ・薄記会計の事務員  ・検査測定作業員
 ・建設機器作業員  ・スポーツの審判など
反対になくならない仕事は、セラピー、医療、教育、文化等に関わる高度な仕事や高いマネジメント、クリエイティブの分野だ。
日本の職業の数は、1920年35000種あったが、2008年には18000種に半減しているという。もうそこまで来ているロボット化時代によってますます職業が減少するなか、今後生き残るのは容易ではない時代になるだろう。

ビジネスで活躍する要素とは

大学生の「社会人観の把握と社会人基礎力の認知度向上実証に関する調査」(経済産業省)によると、企業側が「学生に不足していると思う能力要素」と、学生が「自分に不足していると思う能力要素」には大きなギャップがある。
具体的には、企業側は学生に対し「主体性」「コミュニケーション力」といった基本能力の不足を感じている。それに対して学生は、それらの能力は既に身につけており、技術・スキル系の能力要素が不足していると考えている。実社会が学生に求めている要素と学生が考える要素、水準には大きなギャップが存在する格好だ。
また、企業の人事担当によると自社で活躍している若手人材が共通して持っている能力要素は、「コミュニケ-ション力」、「人柄(明るさ・素直さ)」が突出して多い。実戦で活躍するには、何はともあれコミュニケーションと人柄が重要なのだ。

(西部支社長 大沢 昭博)

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