株式会社リコー(代表取締役社長:三浦善司)は、高齢化社会への対応、医療費削減、地域間の医療水準格差解消などが求められるヘルスケア分野を、社会課題の解決に取り組む分野の一つとして位置付け、事業参入することを決定しました。その一環として、画像診断装置事業の事業展開・研究開発を加速するため、横河電機株式会社(代表取締役社長:西島剛志)から2016 年4 月1 日に脳磁計(※1)事業を譲り受ける予定です。
(※1) 脳の神経活動により生じる生体磁気を計測する装置
リコーは、医療機関向けに基盤事業であるプリンティングシステムやドキュメントのソリューションの提供に加えて、これまでもヘルスケア分野に関連するさまざまな取り組みを進めています。重点領域別の主な取り組みは、以下のとおりです。
1 「ヘルスケアIT」領域
1.1 テレビ会議システムを活用した遠隔医療システムの実証実験
2 「メディカルイメージング」領域
2.1 鼓膜などの状態を可視化する3 次元・マルチ分光カメラ(※2)の開発
2.2 神経活動の状況把握に役立つ、神経活動により生じる生体磁気を可視化する生体磁気計測装置(脊磁計(※3))の開発
3 「バイオメディカル」領域
3.1 インクジェットプリンターの技術を活用した、細胞の3 次元配置によるヒト組織を作成するバイオ3D プリンター(※4)の開発
(※2) nano tech 2015 に出展
(※3) 脊髄の神経活動により生じる生体磁気を計測する装置、 nano tech 2016 に出展
(※4) nano tech 2016 に出展
このたびリコーが横河電機から事業譲渡を受ける脳磁計は、リコーが2014 年から技術開発に取り組んでいる生体磁気計測装置(上記2.2)と原理的には同じもので、神経活動によって脳から生じるわずかな磁気を痛みや苦痛を伴わずに計測し、脳内の神経活動の伝達を「見える化」するものです。形状を計測するMRI とは違い、機能を「見える化」することにより脳の状態を把握するものとしててんかんの診断などに活用されています。リコーは、横河電機からこの生体磁気計測装置の一種である脳磁計の事業を継承することで、ヘルスケア分野に本格的に事業参入いたします。基盤事業で培った画像技術・システム設計力をはじめ、生産ノウハウといったリコーのコア・コンピタンスを生かして、100 人に一人ともいわれる(※5)てんかんの診断効率化に貢献することを目指します。また同時に、リコーがすでに取り組んでいる生体磁気計測装置(脊磁計)の研究開発の加速を図ります。
(※5) 広域社団法人 日本てんかん協会 Web ページより
<脳磁計事業譲り受け対象>
1) 脳磁計の商品、開発・製造資産、保守サービス事業
2) 生体磁気計測に関わる技術資産
3) 人員
<脳磁計事業の拠点>
販売・保守サービス 新横浜事業所 〒222-8530 神奈川県横浜市港北区新横浜3-2-3
開発・製造 金沢事業所 〒920-0177 石川県金沢市北陽台2-3 (金沢テクノ・パーク内)
※ 金沢事業所は賃貸契約により継続使用を予定しています。
リコーは経営理念の中で「世の中の役に立つ新しい価値を生み出し、提供しつづけることで、人々の生活の質の向上と持続可能な社会づくりに積極的に貢献する」という「私たちの使命」を掲げています。ヘルスケア分野について、前述の3つの領域「ヘルスケアIT」、「メディカルイメージング」、「バイオメディカル」を重点領域として、「疾病を予防」し、「早期に発見」し、「迅速に治療する」ことに役立つ新しい価値を創造していきます。2025 年を目処に、ヘルスケア事業全体で500 億円規模の事業に拡大することを目指します。医療従事者の方々とともに、医療サービスの質の向上と効率化に貢献し、世界の人々の健康寿命延伸の実現の一翼を担ってまいります。
※ 現在開発中の試作機は、研究開発段階の非臨床用です。医薬品医療機器等法未承認品のため、販売、授与できません。
■関連リンク
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