印刷産業の従業者数は東京・埼玉・大阪・愛知で半数近くを占め、山口、秋田、大分など9県で増加、38道府県は減少。1事業所平均は11.5人、東京・大阪の10人弱に対して、滋賀・埼玉は20人超。(数字で読み解く印刷産業2016その3)
従業者数30万人を切ったのは1963年以来のこと
3月11日公表の「平成26年工業統計調査」産業編によれば、印刷産業の全事業所の従業者数は29万7776人で2年連続の減少となりました。印刷産業の事業所の8割強が「印刷業」で、次いで「製本業、印刷物加工業」、その次が「製版業」となっています。「印刷関連サービス業」の業種内容と事業者数の減少傾向については前回の記事にあるとおりですが、ここでいう「印刷関連サービス業」は校正刷り、刷版研磨、印刷物結束などの非常に限られた範囲の専業者を指しているもので、25.4%減という大幅な減員は専業者の減少や、事業規模の縮小によるものといえるでしょう。
東京都が最も多いが、従業者数・事業所数ともに約6%減
印刷産業の従業者数を都道府県別に見ると、東京都が5万4915人(全国の18.4%)と最も多く、次いで埼玉県が3万3750人(同11.3%)、大阪府が2万8789人(同9.7%)、愛知県が1万8142人(同6.1%)となっています。
増加率では、山口県が7.6%増と最も高く、次いで秋田県が3.2%増、大分県が2.8%増、徳島県が1.2%増で、山形・長崎・千葉・佐賀・茨城の5県が0.2~0.3%の微増となりました。残る38道府県は減少ですが、北海道の9.1%減が最も激しく、次いで宮崎県の8.8%減、香川県の6.6%減、東京都の6.4%減です。
東京の地場産業は印刷産業ですが、事業所数で見ても東京都は6.5%減で、鳥取県の10.0%減に次いで高い減少率となりました。ちなみに事業所数は、3.7%増の秋田、増減なしの山梨の2県を除く45都道府県で減少し、山口県も4.5%減となっています。
1事業所平均は11.5人、東京・大阪は10人弱
印刷産業の1事業所当たり従業者数は11.5人(前年は11.4人)で、1991年の11.0人からずっと11人前後で推移しています。印刷業は12.0人(同11.8人)でこちらは12人前後で推移しています。
1事業所当たり従業者数では最も多いのは滋賀の23.6人(前年は23.1人)、埼玉20.1人(同19.5人)、奈良17.6人(同17.6人)、香川17.4人(同18.5人)、岡山16.8人(同17.0人)の順で、次いで山口16.3人(同14.4人)となりました。
東京9.9人(同9.9人)、大阪9.8人(同9.5人)と平均以下なのは事業所数の多さだけでなく、都市圏では同業者間取引によって繁閑差や自社設備の不足を補えますが、地方ではある程度の規模の会社は総合印刷業として自社ですべてに対応しているためと思われます。埼玉は工業団地に大きな印刷工場が立ち並び、平均従業者数も大きくなっています。
(JAGAT CS部 吉村マチ子)