収益改善のための「全員経営」

掲載日:2016年6月10日

「生き残るために何をすべきか」印刷業界の経営者はいつも考えているのではないだろうか。

現在多くの企業で導入されている「社内コストの見える化」は、そのための手段のひとつであり、それ自体が目的ではない。しかし、「見える化」に取り組む印刷会社が増える一方、原価データを収集したところで終わってしまい、改善活動にまで活かせていないケースも多く見受けられる。

 

収益性を上げるためにはコスト管理が軸になる。
受注一品単位、あるいは部門単位での収支を精査する「見える化」を実施し、そこを出発点にしてPDCAの改善サイクルをまわしていく。目指すべきは、リアルタイムで仕事の原価が「今どのくらいかかっているか」を共有できるようになることであり、データを取得するだけで終わらせてはならない。

 

さらに「見える化」を成功させるためには、原価に対する情報共有だけでなく、全社一体となった取り組みが求められる。収益性を上げることによって、その企業で働く社員に利益が還元される。言い換えれば、会社の利益を社員ひとりひとりが支えるという意識を持つことが大切であり、上からのトップダウンでなく、社員が一体となって取り組むことで、はじめて成果が見えてくる。

 

 一方、社員が同じ目的を共有するためには、情報開示も必要になる。しかし現実には、社員とのコンセンサスをはかるにあたって、収益に関する情報開示に躊躇する経営者もいるかもしれない。「社員の協力を得たいが、現状を明らかにすることによって社内に動揺が生じかねない」という悩みを抱える場合もあるのではないだろうか。そうしたジレンマをやがて乗り越えることによって、目標を達成することが可能になる。

 

「生き残るために何をすべきか」
その答えは経営者だけでなく社員がともに考え、「全員経営」の意識で改善活動を続けていくプロセスに委ねられている。

 


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CS部 教育サポートチーム 原淳子