【クロスメディアキーワード】消費者購買行動に関するモデルの変化
インターネットの普及とIT(Information Technology)の発展により、消費者の購買行動は変化をしている。商品やサービスの購入について、消費者の行動を段階的に分類する効果階層モデルは、心理学を経営学分野へ応用する初期事例の一つである。
AIDMA(アイドマ)
「AIDMA」はアメリカのサミュエル・ローランド・ホールにより提唱され、消費者が商品やサービスを認知してから購買に至るまでの心理を段階的に分類したモデルの一つである。
1. Attention(注意)
2. Interest(関心)
3. Desire(欲求)
4. Memory(記憶)※
5. Action(行動)
※ Motive(動機)とする説もある
消費者は、商品やサービスを購入する際、上記5 つのプロセスを経る。購買決定に至るプロセスを分類することで、見込み顧客がどの段階にあるかを見極めることが可能となり、マーケティング担当者は、見込み顧客の状態に応じたコミュニケーション戦略を実施することができるようになる。
Web サイトへの応用:Attention(注意)
商品やサービスに関心を持つ見込み顧客を効率よく関連のWebサイトに誘導することが、「Attention」の効果階層に対する施策となる。リスティング広告やブログ、SNS(Social Networking Service)による誘導コンテンツ導入のほか、ダイレクトメールやチラシなどのペーパーメディアに対する2 次元コード掲載に、テレビ放送やラジオ放送でのCM による誘導など、さまざまなメディアからWeb サイトへの誘導方法として期待ができる。リスティング広告の利用では、検索結果ページ上に同様の商品やサービスに関する広告が表示される。そのため、表示順位だけではなく、検索するキーワードに対し、結果として表示される内容についても、Web サイトへ誘導する要因の一つとなる。
Web サイトへの応用:Interest(関心)
見込み顧客を誘引し、興味をそらさないようにする展開は、「Interest」の効果階層に対する施策となる。Web サイトに訪問した見込み顧客は、瞬時にそのWebサイトでコンテンツを閲覧するかしないかを無意識に判断する傾向がある。Web サイトのトップページやランディングページには、閲覧者が興味を持つコンテンツ(ギミックや価値のある文章)を用意することが重要である。また、ユーザビリティーを考慮したインターフェイスデザインや、適切なインフォメーションアーキテクチャーなども、広い意味で「Interest」を誘う要因であると考えられる。
Web サイトへの応用:Desire(欲求)
見込み顧客の購入意欲を高揚させる展開は、「Desire」の効果階層に対する施策となる。製品紹介のコンテンツでは、機能や効用の詳細情報のほか、購入した際のベネフィット(期間限定の特別価格、短納期、長期保証、アクセサリーの無料進呈など)を掲載することが、購買意欲を高める一つの施策として効果が期待できる。
Web サイトへの応用:Memory(記憶)
Web サイトにより、見込み顧客が商品やサービスの詳細を記憶することが購買意欲の促進となり、「Memory」の効果階層に対する施策となる。記憶を維持するためには、定期的な見込客に対するアプローチが必要となる。アプローチ方法としては、メールマガジンの送付や、誕生月のクーポン送付などがある。
また、商品やサービスに関するコンテンツの更新を頻繁に行うことで、見込客が「常に新しい情報を提供しているWeb サイト」といった印象を残すことも、記憶維持を支える一つの施策として期待できる。さらに、Web ブラウザーの「ブックマーク(お気に入り)」への登録を促すほか、RSS を利用し「価格変動情報」や「ベネフィットに関する情報」などを効果的に配信することは、「Memory」以外の効果階層に対する施策としても効果が期待できる。
Web サイトへの応用:Action(行動)
見込み顧客に対し、購買を促す最後の展開が、「Action」効果階層に対する施策となる。「会員割引制度」や「ポイント付与」などのほか、「フラッシュマーケティング」の活用が、購買意欲を高める一つの施策として効果が期待できる。
AIDA(アイーダ、アイダ)
「AIDMA」から「Memory」を除いたAIDA モデルには、広告を中心としたマーケティングやセールス活動へのモデルとして、米国で普及している。偶発的にWebサイトへ訪問した見込み顧客に対し購買を促すECサイトの場合は、AIDAモデルを重視することもある。
その他のモデル
インターネットの普及により提唱された効果階層モデルとして、「AISAS」や「AISCEAS」なども存在する。「AIDMA」の「Desire」と「Memory」を除き、「Search(検索)」「Comparison(比較)」「Examination(検討)」が入り、「Action」の後に「Share(情報共有)」の効果階層が追加され、利用されている。
JAGAT CS部
Jagat info 2014年3月号より転載