従来の印刷会社のビジネスとしては、お客様からの発注によって仕事が発生する受注型の仕事がほとんどだった。ところがメディア環境の変化や日本経済の低迷などによって印刷市場が縮小する中では、従来型の印刷ビジネスを続けるだけでは売り上げの維持や拡大をすることは難しくなっている。
そこで、発注されるのを待つだけではなく、受注を創り出すことや、独自の商品やサービスを武器に新たな市場を求めることが次なる成長につながっていく。実際に独自の商品やサービス事業に挑戦する印刷会社が出てきている。
JAGAT info10月号では、そのような会社3社の挑戦を紹介している。独自商品やサービスを持つといっても、経営資源が限られている中小企業が多い印刷会社にとっては、投資できる金額もそのビジネスに割ける人員も限られている。では、どのようなスタンスで新たなビジネスを開拓しようとするかとなると、なるべくリスク負担を少なくする必要がある。そうなると、本業である印刷で培ってきた経験や技術の延長線上、もしくは周辺でビジネスを創っていくのが望ましい方法の一つと言えよう。
実際、11月号で紹介している3社も新しいビジネスといえど、決して印刷からは離れておらず、印刷というモノ作りがベースにある。要は、印刷することがビジネスだった状態から、自ら企画して印刷も使って製造した商品を販売していくというスタイルだ。
課題は独自の商品やサービス自体を開発することはできても、それを事業化するのはより高いレベルの挑戦が求められるということだ。印刷会社だから製造はそれほど苦労をしないが、問題は経験のない販路の開拓と、いかにして商品認知度を上げて、実際の販売をどのようにして行っていくかということであろう。3社の取り組みをぜひご一読ください。
いずれにしろ新しいビジネスに取り組む場合には机上で議論しているより、実際の行動を起こすことが重要で、3社の挑戦を見るにつけ、中小企業では当然ではあるが、経営トップの本気度と自ら動くリーダーシップの強さがポイントになるようだ。
このほか特集では、9月に発行したJAGAT『印刷産業経営動向調査2016』より、業績良好な印刷会社経営者の思考を探るということで、10回目を迎えた本調査では業績良好の印刷会社経営者がどのような経営戦略を取っているのかを分析している。
経営者インタビューは、お客様を感動させていたいということで、お客様視点で次々に独自のサービスを開発、提供しているマクビーカタガイの代表取締役社長清水正雄氏にお話しを聞いた。
(JAGAT info編集担当)
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