「工業統計表 概要版」に該当する「平成28年経済センサス‐活動調査」が9月25日に公表された。4人以上の印刷産業出荷額は1.1%減となった。(数字で読み解く印刷産業2017その9)
JAGAT刊『印刷白書』では、印刷産業の動向把握に必要な公表データを網羅・掲載しています。印刷市場を把握する上で最も重要な統計データが工業統計になります。工業統計と経済センサスの関係については、「工業統計と経済センサスはどう違うの?」でも紹介しましたが、今回は9月25日に公表されたばかりの「平成28年経済センサス-活動調査 産業別集計(製造業・概要版)」について紹介します。
「経済センサス‐活動調査」は全産業・全事業所を対象とした大規模調査で今回が2回目の実施です。5年に1回の経済センサスの年には工業統計調査は中止となることから、2011年と2015年の工業統計の数字は「経済センサス‐活動調査」が代替しています。
「経済センサス‐活動調査」では、工業統計との時系列比較を可能とするために、①管理、補助的経済活動のみを行う事業所ではないこと、②製造品目別に出荷額が得られた事業所であること、の2点に該当する製造事業所について集計しています。
工業統計は1955年に全数調査を開始し、2009年以降は標本調査となりましたが、産業編では3人以下の事業所を含む全事業所の推計値を公表しています。「経済センサス‐活動調査」は全数調査ですが、今回の概要版では従業者4人以上の事業所に関する統計表が産業中分類別に公表されました。印刷白書では多くの図表を全事業所のデータで見てきましたが、今回は4人以上に限られます。産業中分類「15印刷・同関連業」の数値はわかりますが、その内訳になる細分類の「151印刷業」「152製版業」「153製本業、印刷物加工業」「159印刷関連サービス業」まではわかりません。
2016年の事業所数は2014年比4.5%増、従業者数は同1.9%減、2015年の出荷額は前年比1.1%減、付加価値額は同0.3%減となりました。前回の経済センサスによる2011年の数値が工業統計との比較で大きく違いが出たことから、単純に比較することはできないかもしれません。
なお、全数調査の結果がわかる「産業編」と事業所の製造品・加工品を品目別に集計した「品目編」の公表は12月となります。
工業統計の調査日は、最新の「平成29年工業統計調査」から6月1日に変更になり、消費税の記入を税込みまたは税抜きかを選択できるようになりました。経済センサスとの整合性が図られたことで、これまで以上に時系列比較が容易になることが期待されます。
『印刷白書2017』は50周年記念のJAGAT大会でのお披露目に向けて現在鋭意制作中です。限られた誌面で伝えきれないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信していきます。
(JAGAT 吉村マチ子)