改丁・改ページとその前ページの処理

掲載日:2014年11月11日

日本語組版とつきあう その39

小林 敏(こばやし とし)

改丁・改ページの処理

改丁・改ページ処理は、見出しなどを新しいページから開始する処理で、改丁は奇数ページで開始し、改ページは奇数・偶数に関係なく、新しいページから開始する処理である。

なお、改丁の丁とは、本を構成する1枚1枚の紙葉を数える単位で、表裏の2ページ1枚を1丁という。本のページ数は、紙葉の表面から開始するので、最初の紙葉の表面は必ず1ページとなり、次からの紙葉の表面も必ず奇数ページとなる。改丁とは新しい紙葉から開始することなので、新しい紙葉の表面は必ず奇数ページとなる。

別の言い方をすると、本を開いた見開きの2ページでは、数の多いページ数(縦組では左側、横組では右側)は必ず奇数となり、数の少ないページ数は偶数となる。見開きページでは101ページと102ページという組合せはなく、100ページと101ページという組合せになる。

初期のコンピュータ組版では、改ページ処理はできるが、改丁の処理ができないシステムもあった。こうしたシステムでは、奇数ページで開始する大見出しなどを別のファイルにし、開始ページを奇数ページに指定することで処理していた。
しかし、今日では、改丁・改ページ処理は、ほとんど問題なく処理できるシステムが多い。

ウィドウの問題

欧文組版では、段落の最終行が短く、1単語か2単語程度で、これらの行がページの先頭の行や、段組において先頭の行に配置されることはウィドウとよばれ、避けなければいけないとされてきた。

日本語組版では、ウィドウはあまり問題とはされていない。しかし、段落の最終行が“る。”などといった1字だけの行となり、これがページや段の先頭の行に配置される場合だけでなく、ページや段の途中にあっても、あまり美しいものではない。行の調整処理で直すようことではないが、文章を直せる立場であれば、修正してもよい。

ウィドウの極端な例

改丁・改ページと関連し、このウィドウが極端に現れる場合がある。それは、改丁または改ページ処理をした結果、それ以前の文章において、最終段落の最終行が“る。”となり、それがたまたま偶数ページに配置される場合もある。
これは、見た目にあまりにもよいものではない。“る。”の前に何文字かもってくるか、“る。”を前のページに追い込んでしまうなど、なんらかの工夫を必要とする。

改ページ処理で、たまたな奇数ページの先頭に“る。”だけが配置された場合は、その前に偶数ページがあるので、いくらかはよいが、これもできれば、なんらかの処理をした方が望ましいであろう。

また、これと似た問題に“まえがき”や“あとがき”などで最後につく年月日や著者名だけが、その箇所の最後のページに配置されることがある。これもあまり好ましいものではない。“まえがき”や“あとがき”などの見出しの行取り数を増やすなどの工夫をして、年月日や著者名の前に少なくとも1行の文章を配置した方がよい。

改丁・改ページと段組

段組において、改丁・改ページ処理を行う場合、その前ページの処理が問題となる。改丁・改ページ処理を行った場合、一般にその前ページでは、末尾に余白がでる。この余白をどう処理するかという問題である。
横組では、左右のバランスをとった方がよい。そこで、改丁・改ページ処理を行った場合、その前ページでは各段の行数が同じになるように配置する(図1参照)。

 zu39_1

 (図1)

 

 

これに対し、縦組では、上下のバランスはあまり必要としない。そこで、各段の行数を平均にしないで、なりゆきで配置していく(図2参照)。

zu39_2

(図2)

こうした処理は、索引などの最終ページでも必要になる。

横組で段数をそろえる処理

ところで、横組の段組で、各段の行数をそろえる場合、各段の行数がすべて同じにならないことも多い。
この場合は、不足する行は、すべて最終段の末尾で処理するようにする。
例えば、3段組で、そのページに配置する行数が33行の場合は、各段とも11行とすれば問題はない。これが32行となった場合は、1段目と2段目は11行とし、3段目を10行とする。配置する行数が31行の場合は、1段目と2段目は11行とし、3段目を9行とする。