2018年、多様なビジネスとのコラボでも注目されるシェアリングエコノミー

掲載日:2018年1月24日

モノ、スキル、場所などさまざまな商品をシェアするシェアリングエコノミーは、利用者側にも提供側にもメリットがあり新しいビジネスのかたちとして注目されています。今回は、シェアリングエコノミーについて紹介します。

そもそも「シェアリングエコノミー」とは

シェアリングエコノミー(共有型経済)とは、インターネットを介して個人・法人が所有する資産の貸し出しを仲介する営みを指します。

自宅などを宿泊施設として提供するAirbnbは、名前を聞いたことがある人も多いでしょう。ほかにも女性向けの洋服を毎月レンタルでき買取もできるairCloset(エアークローゼット)のほか、個人の時間やスキルを販売するANYTIMES(エニタイムズ)のような無形資産を扱うサービスもあります。

ベンチャー企業、大手企業を問わず次々とプラットフォームが登場し、スマホから気軽に利用できることが普及を後押ししました。新たなビジネスとして市場は拡大、矢野経済研究所の調査によると、2020年には600億円にまで成長すると予測されています。

「シェアする」サービスのメリット

シェアリングエコノミーは、提供側にも利用側にもメリットがあります。

提供側にとっては、もともと持っている資産を活用することができ、新たな収入を得ることができます。企業の会議室などを、使っていない期間だけ貸し出すことができるスペースマーケットや、知識や経験を売り買いできるココナラは、今まで保有していたけれども販売できなかった場所や知識を売買するサービスです。

利用者側にとっては、気軽に安価に利用できるというメリットがあります。高価な高級バッグを買わなくても、1か月単位で好きなバッグをレンタルできるラクサスや、Web制作やデザインなどを手軽に外注できるランサーズは、好きなときに必要な分だけモノや時間を利用できるのが特徴のサービスです。

コンビニや不動産屋×シェア自転車、旅行会社×シェアバッグ

最近ニュースなどで話題になっている「シェア自転車」もシェアリングエコノミーです。

大手コンビニのセブンイレブンではソフトバンク子会社と提携し、主要エリアのコンビニ店舗で自転車をレンタル・返却できるしくみを2018年度中に1000店舗へ展開すると発表しました。(→セブンイレブン・自転車シェアリング bike share

不動産賃貸仲介のアパマンショップでは、2018年中にシェア自転車「ecobike」のサービスを開始すると発表しました。(→アパマンショップ・ecobikeキャンペーン

どちらもシェア自転車ビジネスに参入することで、店舗への誘客が期待できます。セブンイレブンでは、今後はシェア自転車についているGPS付きのカギから収集する位置情報を活用して店舗で利用できるクーポン配信なども検討しているそうです。

またバッグレンタルのラクサスでは、旅行会社のH.I.S.とコラボした「ブランドバッグ de 旅しよう!」サービスを開始しました。(→リリース

これは非日常体験である旅行に、ブランドバッグを持つという体験を組み合わせることで、一層特別な体験ができるという企画。H.I.S.で旅行を予約した人にはバッグが1ヶ月無料(2か月目は半額以下)で利用できる招待コードがプレゼントされます。

H.I.S.側にとっては、お客様に特別な体験を提供でき、ラクサス側にとっては、サービスのプロモーション機会になるという取り組みです。

まとめ

シェアリングエコノミーの価値は、今まで(商品として)販売できなかったモノ・時間が販売できるようになったことに加え、「所有ではなく共有する」という意識の高まりにマッチしたビジネスモデルであることにあります。

単純に収益源としてだけではなく、店舗集客などの目的でも利用が拡がり、さまざまなビジネスとのアライアンスの可能性も生まれています。

最近ではシェアビジネスとコラボしたリアル店舗のプロモーションも出てきました。今後は印刷会社にとっても、地域活性ビジネスなどで関連が出てくることでしょう。

2018年はシェアリングエコノミーの動向に一層注目が集まりそうです。

(JAGAT 研究調査部 中狭亜矢)

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