売れるカタログ制作の極意「ビジュアル・コントロール」

掲載日:2014年11月30日

お客様を満足させ、確実な効果をもたらす印刷物を制作するには、全体のビジュアルを論理的に組み立てるための設計手法を理解した上で、経験を積み重ねる必要がある。

ビジュアルはアートではなく科学
商業印刷物には、カタログやチラシ、通販などのダイレクト・レスポンス・メディアやメーカーの製品パンフレット等がある。しかし、そこに掲載される商品が何であろうと、およそ商業印刷物である以上、商品やサービスを訴求する販売促進が目的であり、それがすべてである。つまり、きれいに作ることが大事なのではなく、ましてデザイナーの自己満足のためにあるのでもないから、ビジュアルは論理的に説明できるデザインでなければならない。

カタログのビジュアルは、既に科学的に検証され、体系立てられた方法論が確立されている。そのセオリーを理解して、基礎的なテクニックを習得しておくことが重要である。「ビジュアルに占めるアートの割合は最大でも20%」という説があるほどで、したがってビジュアルはアートではなく科学である、と断言しても過言ではない。デザイナーの仕事をクリエイティブと言ったりするが、より創造的にプランニングされて初めて、クリエイティブな仕事と評価できるのである。

カタログ制作の鉄則を理解する
効果的なビジュアルを提案し作成するためには、セオリーにもとづいたディレクションが不可欠である。これらのディレクションおよびマネジメント業務を統括した「ビジュアルコントロール」が的確に行われるかどうかは、制作する印刷物のクオリティに大きくかかわってくる。 
                                                                             

デザイナーは、商品の訴求ポイントに注意を喚起しつつ、アイフロー(目線の動き)をつくりだし、注文する方向へと顧客を動機づけていかねばならない。そのためには、実際に作業をする前に、まず最初にビジュアルをどのように組み立てるべきなのかを決定しておく必要がある。

具体的な手順としては、ビジュアルの構成要素を大きな部分から徐々に個々のパーツへと、 ブレークダウンしていく設計が求められる。その整理のひな型として「ビジュアルコントロール・シート」を用い、効率的に設計を行う方法がある。プロモーションの要めとなるコンセプトを決め、理解しやすいビジュアルに具体化するための必要なフォーマットを選択し、全体の流れを組み立てていく。これにより、その後の作業が合理化され、全体として一貫性があり、統制のとれたビジュアル表現が可能となる。

オペレーションにおいて、ややもすると画面上で「パズル」(試行錯誤)に陥りがちである。最初にビジュアル構成要素を把握し、どれだけしっかりと設計をしておくかで勝負は決まるといってよいだろう。

苅田和房(有限会社湾岸道路 代表/JAGAT講師)

苅田和房
1962
年生まれ。京都産業大学経済学部卒業後、株式会社ニッセン通販事業部マーケティング本部勤務を経て1992年独立。その後のコンサルティング経験を踏まえ、人材育成に力を入れる。演習を中心としたセミナーのカリキュラムづくりや実務に即したコンサルティングを実施し、個々の能力を引き出すトレーニング、組織としてのポテンシャルを発揮させるための社内研修教育に定評がある。著書に、JAGAT通信教育テキスト「印刷物デザイン設計実践コース」共著、「真・マネジメントの法則」がある。

 

 

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